アージェント 〜時の凍りし世界〜
第三章 《氷獄に彷徨う咎人》
白き地獄の底で@
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なる。そんな真似は、最初からこの状況を推測していないと不可能なのだ。
「………あのゴーレムの性能が分からない。総力戦になるぞ。」
「………と、考えてる頃だろうな。」
《スリュム》と名付けた氷の巨人の上で、暁人は一人呟く。そう、クロノの予想通り、暁人は一連の事件を起こす前からこの最終局面を想定していた。クロノがそう考えるであろう事も含めて。
「相手の戦力が分からない以上最大戦力をぶつける。それが分からない無能じゃない筈だ。」
暁人がここまで一度もゴーレムを使わなかったのも、一体当たりの戦力を相手に量られない為だ。不明である以上、相手は常に最悪を想定して動く。
と、そこに念話が入った。
「……そうか。ま、妥当だろう。」
相手の報告に対して暁人は顔色一つ変えない。
「……大丈夫だ、後は手筈通りに。………これが最後だ。」
短く言葉を交わす。もう、全ての仕込みを終わらせている。後は実行に移す、それだけだった。
「……さて、そろそろだろうな。」
そんな暁人の呟きを裏付けるかの様に、上空から一機の偵察ドローンが降下してきていた。
『次元航行艦アースラの艦長、クロノ・ハラオウンだ。』
「白峰暁人、そちら基準で言えばテロリストだ。」
偵察ドローンの投影する映像越しに会話する暁人とクロノ。緊迫した空気の中、暁人はあくまで無表情に尋ねる。
「で、こちらの要求は?」
『通す訳が無いだろう。そもそも、君には通す気も無かった筈だ。』
「……なら、話は早い。お前達には代償を払ってもらう。止めるなら、急いだ方がいいぞ。」
言うなり、さっさと進軍を始めようとした暁人だったが、一人の少女がそれを引き留めた。
『待って!!』
「………何だ?話す事なんかもう無い筈だがな。」
引き留めたのはなのはであった。引き留めたのはいいが、何を話すべきかは実は決めてなかった彼女は、少々戸惑いながらもこう、切り出した。
『……本当に、いいんですか?』
「……何がだ?」
『あ、あなたは氷雪ちゃんを治したいだけなんですよね!?だったら何で、戦わなきゃいけないんですか!?』
「…………さて、な。何でだと思う?」
『誤魔化さないで!!』
なのはの剣幕に、少し意外そうな顔を見せる暁人。それは、アースラにいた他のメンバーも同様だった。確かになのはは優しすぎる部分もあるが、ここまで犯人に入れ込むのは初めてだったからだ。
なのはにはなのはなりの理由があった。アースラのメンバーの中で、氷雪と直接触れ合ったの
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