そして豪傑へ・・・〜小さいおじさんシリーズ20
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、背くのだ」
「―――そうですねぇ…人材として美しくないですねぇ。行動に『忠誠心』という核がない者達は」
珍しく白頭巾が同意している。
「何で貴様が同意する?うちの綺羅星の如き豪傑達を、忠誠心しか持ってない馬謖とかと一緒にしてほしくないわ」
「ぐぬぬ」
分かる。よく云ったぞ豪勢。
「それに勘違いしているようだがな、奴は基本的には軍師だぞ。自ら矛を振るって戦に臨む、所謂『豪傑』とは違う」
「出た。出ましたよ。脳筋好きの軍師嫌い。荀ケも浮かばれませんなぁ」
「ちょっ…奴の名を出すな!!そこら辺で首吊られるぞ!!」
俺は一応、押入れの襖を軽く肘で押して開けにくくする。今あの自殺ジャンキーに出てこられたらややこしいことになる。
「…実際、韓遂が『豪傑』になり切れなかったのは、そういう所があるのかもしれない」
二人のちょっとした小競り合いを尻目に、端正が小さく呟いて茶を啜った。
「あの男の行動には『核』がないのだ。卿は今『軍師』と云ったが、それは少し違う。他の武将と少しでも意見が合わなければ何の躊躇いもなく殺し、その後は山賊まがいの略奪を繰り返す賊軍と化し…多少、知恵は回るようだが、先の見通しが全く出来てない。軍師としては致命傷であろうな」
「ほんとそれな!何がしたいのかさっぱり分からんのだ。董卓を退けたあの後、他の武将と団結して治世にあたれば涼州くらい治められたかもしれないのにな!」
―――今更だが韓遂ってどんな奴なんだ。
俺は三国志は演義を一通り読んだくらいで史実の方にはあまり詳しくないから、韓遂については『なんか馬超の友達』くらいの認識しかなかったが、そんな濃ゆい感じのキャラクターだったのか。
俺は咄嗟にスマホで『韓遂』を検索してみた。…えっと、何だっけ。三国時代突入前に、涼州で暴れ回って董卓を手こずらせ、その後は仲間割れの果てに仲間の武将を殺害し、賊軍と化して雍州を荒らし回り、馬騰と組んで…董卓の呼びかけに応じて連合軍と戦う!?そ、そして董卓亡きあと…一時的に政権を握った李?と郭に将軍の位をもらう!?そして数年後、また反乱!?そしてその時に意気投合して義兄弟になった馬騰と些細なことで喧嘩して…涼州にいた妻子を殺害!?正直さっきまで彼らの意見は話半分で聞いてたけど…思ってた以上に訳が分からないぞこの男!!こんな武将が特別にフィーチャーされてないってことは……。
「こ、こういう訳わからん武将、中国では一般的だったのか…?」
「そんなわけあるか―――っ!!!」
三人が同時に叫んだ。…おいおい、俺は居ないって設定じゃなかったのか。
「おほん…ん、んー、あれだ。あの男は余が知る限りでも出色の訳わからん武将だったな」
豪勢が咄嗟に咳払いと共に何かを誤魔化した。
「うむ…やってることが訳分からな過
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