そして豪傑へ・・・〜小さいおじさんシリーズ20
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の目玉を食したり、部下をからかううためだけに馬の鞍に死体ぶら下げて走ったり、呉の豪傑で云えば総大将なのに序盤でマッハ突入して罠に掛かって岩の下敷きになったり…どうもSAN値が低めな方が多い印象ですねぇ、豪傑と呼ばれる御仁は」
―――どこからSAN値なんて用語を拾ってくるのだこいつは…。
「なっ…豪傑をサイコパスで一括りにするな!中にはその…関羽殿のような人格者も居るではないか!!」
「ふむ、義兄弟の誓いとやらのために互いの妻子を殺して回る殺人鬼が、人格者」
白頭巾は羽扇の影に隠れてくすくす笑い始めた。
「義兄弟の張飛の妻子は関羽殿によって鏖殺されておりますな。可哀想になって一人だけでも見逃した張飛殿のほうがまだ人間としてはまともでしょうが…」
「きっ貴様それ言ったら…長坂から落ち延びる際に人妻の肉を振る舞われて『義人なり!』とか褒めちぎった貴様の主はどうなんだ!あれはまともな人間か!?あの変態が治める蜀は変態パラダイスか!?」
「私が迎え入れられる前の愚行は置いておきまして」
「上司の行動を愚行っつったか今」
どうも白頭巾の劉備に対する評価は高くない…というかぶっちゃけ、低い。
「蜀の人材も最初は、何かとキナ臭い方々が多めでしたよ。ただ」
そういう方は順当に、お亡くなりになりましたねぇ…そう呟いて、白頭巾は静かに黙祷のような仕草をした。
「…そんなに居たか?ヤバい奴」
端正がとうとう豪傑をヤバい奴呼ばわりし始めたが、それでいいのかこの会話の流れで。
「ヤバかったですよねぇ?」
白頭巾がちらりと豪勢を流し見る。豪勢は深く腕を組み、深く長いため息をついた。
「あぁ…あいつな。和平会談の席で突然、余に襲い掛かって来たぞあの蛮族は。そんなことする武将、あいつが初めてだわ」
「―――ああ、馬超、か」
端正が、納得したようにゆっくりと首を巡らせた。…ていうか馬超って、錦馬超と云われたあの、ゲームとかでも人気の…。
「私が魏延をディスりまくったせいで大して目立ってませんが、彼のヤバさは中々のものでしたよ…。腕っぷしは張飛殿に迫るものがありましたが兎に角、酷い神経症で、放って置くと勝手に疑心暗鬼に陥って反乱に次ぐ反乱…演義では『不幸にも』馬一族が馬岱を残して貴方に滅ぼされ、馬岱と共に貴方への復讐を誓った…とされていますが」
「なんで前後関係が逆転してんだよ!!彼奴が先に余の暗殺を企てたから報復として一族を殲滅してやったんだろうが!!」
―――え、まじですか。殲滅ですか。
「そう、そうなんですよ。貴方、馬超に対して言葉が足りなかったでしょう。あのサイコパスは一通り全部説明しないと、理解できなかった部分を『自分への敵意』で埋めてかかりますからね。どうなっちゃうかというと…『奴は俺を殺そうとしている!!』ってなるんですよ
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