第四十三話 阿波野君が気に入れられてその七
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「悪いし」
「遠慮しなくていいですよ」
「そういう問題じゃないの」
今度は阿波野君自身に言いました。
「人にお金出してもらうことはよくないから」
「あっ、お金はですか」
「そう、だからね」
「お弁当ですか」
「阿波野君の分もね」
二人分とお母さんに言いました。
「作ってくれる?」
「いいわよ」
返事は一言でした。
「それじゃあ作るわね」
「お願いね」
「ええ、ただお弁当にするなんて」
お母さんは私と阿波野君を交互に見てきました、それでまた言うのでした。
「何かね」
「何かって?」
「これは思ったよりいい感じね」
「いい感じって何よ」
「いえ、阿波野君にはこれからもうちの教会に来て欲しいわね」
「あっ、そうしてもらっていいですか?」
今度は阿波野君がお母さんに応えました。
「今は旅行に来てるんですが」
「旅行にいる間時間があったら来てね」
「そうですか」
「ええ、うちは何時でもいいから」
お母さんは凄く優しい感じでした、実際に優しいんですが。
「来てね」
「そうさせてもらいます」
「あと千里の携帯の番号は」
「はい、聞いてます」
前に教えてあげました、同じ奥華の子ですししかも何故か毎日会うからです。こうして今も何故か一緒にいますし。
「ちゃんとメールのやり取りもさせてもらってます」
「ならいいわ、千里もそれでいいわよね」
「よくないけれど」
「よくないの?」
「だって図々しかったっていうか」
その時の阿波野君の態度たるやです。
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