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儚き想い、されど永遠の想い
20部分:第二話 離れない想いその五
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第二話 離れない想いその五

「よく。甘いと言われているけれどね」
「甘く。そして切ないですね」
「そう言われているね。けれどそれは本当のことなのか」
「経験していないと。わかりませんね」
「全くだね」
「私はです」
 執事はだ。その許婚のことを頭の中に入れて述べた。
「既に相手は決まっていますが」
「恋をしているという実感はないんだね」
「幼い頃から共にいた。言うならば」
 どうした存在かとだ。彼は自分の口で話すのだった。
「兄妹の様なものです」
「兄妹なのかい」
「はい、そうです」
 そうしたものだとだ。彼は話すのだった。
「それがそのまま夫婦になる。そうしたものですね」
「恋は。それじゃあ」
「妹に対する様な愛情はありますがそれでもです」
「恋ではないんだね」
「これからはわかりませんが今はそうです」
 執事は話していく。その彼自身のことをだ。
 そのことを聞いてだ。執事はさらに話すのだった。
「それでもいいでしょうか」
「悪いとは思わないけれどね」
 義正は考える顔でだ。静かに述べた。
「そう、悪くはないね」
「そうですね。このまま夫婦になり愛情を育んでいけば」
「それも恋になるね」
「そういうことですね」
「それなら」
 義正は考える顔になっていた。そうしてだ。
 その顔でだ。彼はだ。また執事に述べた。
「僕が恋を知るには」
「恋をですか」
「自分で経験するしかないのかな」
 こう話すのだった。執事に対してだ。
「そうして知るしかないんだろうか」
「そうなるでしょうか。ただ」
「ただ?」
「いえ、小説でよくある話ですが」
 執事も小説を読む。そしてその小説から得た知識でだ。彼は今義正に対して話すのだった。その話すことはだ。こうしたものだった。
「例えそれが悲しい結末に終わってもです」
「後悔をしてはいけないね」
「はい、そう言われていますね」
「そうだね。それはね」
「旦那様も。是非後悔はです」
「したくないね。後悔はね」
 それについては彼も知っていた。生きていれば必ず後悔することがあるしそうした時がある。それは彼にしても同じことなのだ。
「そして。逃げることもね」
「恋愛からは逃げるなとも書かれていますね」
「よくね。それじゃあ」
「はい、ですから」
「うん、後悔もしないし逃げないよ」
 また話す義正だった。
「絶対にね。そうしないようにするよ」
「そうです。そして」
「そして?」
「今はこのまま帰られますね」
 執事は話を変えてきた。今度の話はそれであった。
「お屋敷に」
「いや、その前に」
「その前にですか」
「珈琲を飲みたくなったよ」
 静かに微笑んでだ。こう述べたのだった。
「それはいいかな」
「珈琲
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