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儚き想い、されど永遠の想い
2部分:前奏曲その二
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方の家、八条家ですが」
「ああ、あの」
 八条家といえば僕も知っていた。かつての財閥であり今も世界的にその名を知られている一大グループだ。その家だったのだ。
「あの家の方だったのですね」
「そうです。マンションを経営しておられますが」
「そのマンションもですか」
「八条不動産という意味でして」
 八条グループの中の一企業だ。八条グループはとにかく様々な企業の集合体なのだ。その規模はあの三菱にも勝るとさえ言われている。
「あの会社の重役なのです」
「そうだったのですか」
「はい、そういう方ですので」
「わかりました。そうした方でしたか」
「はい、よくお話をされるといいと思います」
「わかりました」
 相手が誰かと言っても特に意識するつもりはないがそれでもだ。あの八条家、世界的なコンツェルンの経営一族の一人ということは意識せざるを得なかった。それでいささか緊張しながら洋館に入るとだ。その紳士、八条氏は穏やかに笑って気さくに僕に話してきたのだった。

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