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儚き想い、されど永遠の想い
198部分:第十五話 婚礼その七

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第十五話 婚礼その七

 その菓子を見つつだ。話すのだった。
「日本人に合う様にですか」
「作ったものだからこそ」
「日本の風土の中で」
「風土と先人の力」
 二つのことがだ。合わせて話される。
「その二つがあってこそです」
「そうですね。その場所がありそこに住んでおられる人達がおられて」
「そうして作られていくものですね」
「お茶やお菓子は」
「他のものもでしょう」
 茶を手にしたままで。真理は茶や菓子だけではないともいうのだった。
「おそらくです」
「では文化も」
「そうしたものもですか」
「はい、それは文化全体に言えることでしょう」
 またこう話す真理であった。
「あらゆることがです」
「そうですか。この茶器も」
「こうしたものも」
「岡倉天心だったでしょうか」
 日本文化の素晴しさを再確認させた人物だ。多くの文化品や芸術品を収集し集めたことでも有名だ。日本文化史上の偉人の一人だ。
 その彼のこともだ。話されるのだった。
「あの方もです」
「そのことに気付いておられてですか」
「日本文化を保護された」
「そうだと思います。それでは」
 ここまで話してだった。真理はその茶を飲んだ。それからだ。
 満足した笑みでだ。二人に述べる。
「ではまた一杯」
「はい、それでは」
「おかわりを」
 二人も笑顔で頷く。そしてだ。
 喜久子がだ。ここでまた話してきた。
 茶を待ちながらだ。彼女は話すのだった。
「そういえばですが」
「そういえばとは?」
「私以前に」
 どうかというのだ。真理が淹れる茶を見ている。
「八条さんと御会いしたことがあります」
「そうだったのですか」
「あの方と」
「少しお話をしただけでした」 
 これといってだ。話をしていないというのだ。喜久子にとってはそうしたものだった。そうしたもので終わってしまったことなのである。
「それだけでした」
「そういうことがあったのですね」
 真理は彼女の言葉を聞いてこう述べた。
「そうでしたか」
「はい、本当に少しだけで」
 尚且つだ。どうだったかというのだ。
「一度だけでした」
「お話されたのは」
「そして今はです」
 喜久子は今の彼女のことも話した。
「あの方とお付き合いをさせてもらっています」
「喜久子さんの婚約者の方と」
「あの方と」
「そうしています」
 こうだ。笑顔で彼女自身の今を話すのである。
「幸せです」
「喜久子さんですか」
「幸せになられているのですか」
「とても。幸せです」
 こんなことも話すのであった。
「このまま幸せに。二人で進んでいきたいです」
「真理さんの様にですね」
 麻実子が笑顔でその喜久子に話した。

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