197部分:第十五話 婚礼その六
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第十五話 婚礼その六
「飲んでいると心が落ち着きます」
「はい、紅茶や珈琲もいいものですが」
「日本のお茶もいいものですね」
「日本ですね」
茶からだ。日本の話にもなった。
「このお茶は日本のものですね」
「その日本を飲む」
「私達は今そうしているのですね」
「清らかで。とても落ち着いて」
両手に持っているそれを口に近付けてだ。茶を飲みつつの言葉だ。
「飲んだ後で心がほっとします」
「水とはまた違って」
「とてもいいものですね」
「私は味も好きです」
その抹茶のだ。味もだというのだ。
「この味も」
「私もです」
「私もまた」
二人もだ。同じだというのだ。茶の味も好きだというのだ。
「西洋のばかりではどうも心が落ち着きません」
「やはり日本もまた」
「そうですね。日本に生まれて日本に住んでいるから」
「どうしても日本のものに親しみますね」
「落ち着きを感じます」
「西洋は確かに素晴しいです」
だがそれでもだとだ。真理は言うのだった。
「しかしです」
「しかしですね」
「それでも」
「はい、日本人ですから」
「日本のものが最もですね」
「よいというのですね」
「私はそう思います」
真理は二人に静かに話すのである。
「ですから今もです」
「抹茶をですね」
「飲まれているのですね」
「おかわりもされますね」
真理は微笑み。二人に尋ねた。
「そうされますね」
「御願いします」
「飲み終えたら」
どうかとだ。二人も答える。
こうしてだ。話は決まったのだった。
三人は茶を飲んでいく。それと共に和菓子も食べる。それは赤や白の奇麗な砂糖菓子だ。真理はその菓子も手に取り話をするのだった。
「こうしたお菓子にしてもです」
「やはり日本のものは違いますね」
「落ち着いています」
「そうです。とても」
菓子についてもだ。微笑みと共に話す真理だった。
「気品があり落ち着いています」
「甘さも。上品な甘さで」
「とてもいいですね」
「西洋や支那のお菓子は」
そうした国々の菓子はどうかという話にもなる。
「美味ですが落ち着きませんね」
「こうした和菓子の様には」
「どうも」
「西洋人や支那人が食べれば違うと思います」
彼等ならばだというのだ。その国ならばだ。
「何故なら彼等がそうした菓子を作ったのですから」
「この和菓子は日本人が作った」
「私達の祖先の方々が」
麻実子と喜久子はその菓子を見て話していく。まだ口の中には入れていない。
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