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【アンコもどき小説】やる夫は叢雲と共に過剰戦力で宇宙戦艦ヤマトの旅路を支援するようです
閑話 ワールドイズマイン
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養槽越しの即興劇はこうして幕を開けた。

「おもしろいわ。
 はじめまして。おじさま」

「はじめまして。お嬢さん。
 とりあえずは名前を教えてくれないかね?」

 培養液の中に浮かぶ少女は笑顔のままその名前を告げる。

「『実験体一号』ですって。
 女の子なんだからもっとかわいい名前が欲しいって言っているのに、聞いてくれないのよ。
 失礼だと思わない?」

「そうだね。
 女の子なのだから、かわいい名前がいいだろうね。
 けど、意外だったな。
 私は、君のことを『実験体二号』だと思っていたよ」

「二号?
 私の前が居たのかしら?」

 培養液の少女は笑顔のままムラクモ・ミレニアムの重役を見るが、見つめられた重役は必死に首を横に振るばかり。

「知らない!
 私は何も知らないんだ!!」

 ムラクモ・ミレニアムの重役必死の叫びをゴップ提督も培養槽の少女も無視する。
 だから、ごく自然なありふれた会話のように、過去の人の罪状がゴップ提督の口から告げられた。

「少し昔の事だ。
 火星開発で独占的な地位を占めているムラクモ・ミレニアムの母体の一つとなったムラクモ重工のお嬢さんが居てね。
 天涯孤独で累計も居ない彼女だが、彼女が居た時のムラクモ重工の躍進は凄く、ムラクモ・ミレニアム設立のきっかけになったそうだ。
 不思議な話だろう?
 天涯孤独なのに、彼女はムラクモ重工のお嬢様として扱われたんだ。
 どうしてなんだろうねぇ?」

「なぞなそなの?
 おじさま。楽しいわ♪
 つまり私には、お姉さまが居たのね。
 会ってみたいわ」

 叢雲を世に出すための仕掛けは叢雲が去った後も残っていた。
 火星自治政府が密かに研究していた強化人間実験体一号『東雲叢雲』は少女時代よりその高い才能を発揮。
 彼女のアドバイスによりムラクモ重工は躍進し、ムラクモ・ミレニアム設立までこぎつけるまでになった。
 そして、世間に出る段階になって火星自治政府は彼女の事を恐れたのだ。
 開発独裁を進めている火星自治政府は、政府傘下企業としてのムラクモ・ミレニアムを欲したのであって、東雲叢雲が率いる企業集団ムラクモ・ミレニアムを欲した訳では無かった。
 彼女が恋人と共に宇宙船の事故で行方不明となった時、喝采をあげたと同時に『誰がやった』と疑心暗鬼に陥った者が多数いたのである。
 そんな叢雲を生み出した研究機関が、現在ゴップ提督と培養槽の少女が居る『ウェンズデイ機関』であり、火星自治政府のアンダーグラウンドオペレーションを担当していたのが反地球テロ組織『ストラグル』。
 そういう流れの延長線上に培養槽の少女は存在している。

「どうだろうねぇ?
 君のお姉さんはおそらく漂流者艦隊に居るだろうから
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