仮面ライダーブラーボ/仮面ライダーグリドン
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いく。本物の獣のような俊敏な動きに、ブラーボは追う手段もなく変身を解除する。
「厄介なことに……なったわね……」
「凰蓮さん……?」
店の入り口に立ち尽くした城乃内が見たのは、今まで見たこともない凰蓮の横顔だった。いつも厳しい教えを問いかける師匠ではなく、それはどこか寂しげなような――
「そう。迷惑かけて悪かったわね。スパシーパ、また訓練つけてあげるわ」
凰蓮は誰もいなくなった店内で――何しろインベスに怖がってお客様がいなくなってしまった――1人、ため息を吐きながら国際電話の受話器を置いた。それから作りかけだったケーキに目を置くと、放っておくわけにはいかない――と気晴らしにケーキ作りを再開する。
あのインベスらしからぬインベスたち――最初に敵戦力を測るような様子見の数体、こちらを取り囲んで銃弾のようなものを叩き込んでくる個体、そして……一斉射を囮にした正面突破による本命の一撃。それを凰蓮が防ぐことが出来たのは、とても簡単な話だった……身を持って体験したことも、そのフォーメーションに参加したこともあったからだ。
「ヴォルク……」
かつての傭兵仲間のことを、凰蓮はふと呟いた。フォーメーションを尊ぶ傭兵には珍しい人格者で、共に激戦を潜り抜けた仲間であり――甘いモノが嫌いだった。先程の電話は、そのヴォルクの安否を確かめるものであったが、返ってきた答えはMIA――作戦行動中の行方不明とのことだった。
そしてヴォルクとそのチームが最後に挑んだ任務は、厳重にロックがかかっていたらしいが……電話先の旧友は出来る範囲で調べてくれていた。
彼らの最後の任務はコードネーム《ヘルヘイム》。それが何であるかは……今更調べるまでもなく、つまり、あのインベスたちは――
「凰蓮さん」
「……ボーヤ、今日は帰りなさいって言ったはずよ」
その結論に思考がたどり着こうとした瞬間、いつの間にか店内にいた城乃内に声をかけられた。思考に夢中になって気配を見失うなんて、自分らしくない――と思いながらも、城乃内にそれがバレないように平静を装って話しかけた。
「凰蓮さん、昔、あのインベスと何かあったんですか」
「アテクシがインベスを見たのは最近よ。そんなことあるわけ――」
「嘘ですよね」
凰蓮の言葉を遮るほどの勢いの籠もった声とともに、城乃内は眼鏡の奥から鋭い眼光で鳳蓮を射抜いた。
「俺がこんなに近くまで来てるのに、凰蓮さんが気づかないなんて、何かあったかしないとありえないですから」
「……やるじゃない、ボーヤ」
「策士ですから」
久々に言ったな、と城乃内は自嘲するように笑う。ポカンとした表情の凰蓮という、これまた珍しいものを睨みつけるように見ていると、遂に凰蓮
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