【螺旋と虹】
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『これだけは覚えておいてくれ、ネジ。──日向の呪印によって籠の中の鳥にされようとも、心までは決して、縛れはしないと』
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「ネジ兄さん、向こうを見て下さい。虹が出ています」
屋外の開けた場所で修業中、突然の雨が降って来ようと構わずに続け、通り雨が去った後に「あ、」っとヒナタが何かに気づいて小さく声を出した為、修業の手を止めネジはふと空を見上げると、太陽が顔を出している反対方向に半円形の大きな虹が現れていた。
「綺麗な虹ですね……」
「そう……ですね」
「そう言えば虹って……ネジ兄さんの名前と似てますね」
「一文字違いで、読みが似ているだけですよ」
「にじ……、ニジ兄さん」
「いや、無理に当てはめなくとも……。そもそも呼びにくいでしょう」
「そんな事ないです、ニジ兄さん」
ヒナタはどうやら、からかっているつもりではないらしくネジに向け微笑んでいる。
「ネジでいいですよ。聞きようによっては、どちらで呼んでいるか判りにくいですし」
「虹って……太陽の光がないと現れないんですよね。だけどごく希に、夜でも月の光があれば見える事があるんだそうです。──月の光も、太陽によって輝いてますから、虹はやっぱり太陽の光がないと現れてくれないんですね。それも、いつだって見えるわけじゃない……そんな儚いところが、私は好きだったりします」
「そう、ですか。俺にはよく判りませんが」
ヒナタは空に架かる虹を見つめ、微笑んだままでいる。……ネジにとっては、複雑な心境だった。
(太陽の光──、日差しを……父上を失った俺は果たして、虹と成り得るんだろうか。日向宗家と分家の架け橋に……なれるんだろうか。繋ぎとめて、いけるのだろうか)
「……ネジ兄さん?」
(闇の中から救い出してくれたあいつが……ナルトが、太陽だとするなら──まだ、俺は……)
「ネジ兄さん…!」
「あ……はい、何でしょうヒナタ様」
「虹……、消えてしまいました」
「あぁ……そのようですね」
下向いていたせいか、ネジは虹が消えた事にヒナタに言われるまで気づかなかった。
「ヒナタ様、俺は──・・・」
「どうかしたの、ネジ兄さん。さっきから何だか……」
「いえ、何でもありません。……今日の修業はここまでにしておきましょう」
「あ……はい、分かりました」
ネジは虹の消えた方向を仰ぎ見据えたまま、しばらく立ち尽くす。
(あいつは……ナルトは、『火影になって日向を変えてやる』と言っていた。それを間に受けるつもりはないし、あいつもあの場の勢いで言っただけで忘れているもしれない。あいつを信用していない
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