「わかりません」
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出を受けて、ショウキたちは本来の目的地であった《マロメの村》に戻って来ていた。
「それもこれも、あんたがここに連れてきてくれたからよねー」
「……? 連れてきてくれたのは、お二人です」
「そういうことじゃないの! もー可愛いわね!」
予想だにしていなかったところから抱えていた問題が解決したリズは、大変にご満悦でテンションも圧倒的で、鍛冶とメイスを振るうために鍛えてきた筋力値で少女を振り回していた。あくまで子供に対しての高い高いといった感じではあるが、あそこまでブンブンと振り回されていては少女の方が心配になってきてしまう。ついでにツナギを半脱ぎにしていなければ、本来は隠れているはずの部位がツナギとともに、しっかりと揺れるのがショウキにとって目に毒で。
「リズ、そろそろ」
「むう……でも本当に、ありがとね」
「よく分かりませんが、そう言われると嬉しいです。つまり、どういたしまして」
見ているショウキが冷や冷やとしてきたために止めれば、不満げだったがようやくリズはゆっくりと少女を地面に下ろしていた。当事者である少女は相変わらず無感情な表情で、怖がっていたのか楽しんでいたのかも分からなかったが、地上に降りるとともにショウキに向けて手を伸ばしてきていた。
「連れてきてくれて、ありがとうございました。お礼です」
「ああ、そういえば……お礼をしたいのはこっちなんだけど、何か欲しいのはあるか?」
「そうそう、何でもいいわよ!」
「……何でもいいのですか?」
そういえば、この少女をマロメの村に連れてくるのが、本来のクエストだったな――と、報酬の1ユルドを受け取りながら思い出す。とはいえリズではないが、むしろお礼を言いたいのはこっちの方だという気持ちはショウキも同じで、その問いに少女は初めて困惑した表情を見せた。
「では……来る前に食べたものを、またいつか」
「来る前っていうと……ホットドッグ? それならお安いご用よ、ねぇショウキ」
「むしろいいのか、あれで」
「はい」
リズベット武具店の期待の新商品ことホットドッグを、そういえばクエストに来る前に少女へご馳走していた。とはいえシェフからしてもそこまで喜ばれるものを作っている気にはなれないので、また少女にご馳走する時にはもっと腕を上げておこうと、ショウキは内心で密かに決心する。
「しっかしあんたは、いったいぜんたい何者なのかしらねぇ」
「それはオレっちも聞きたいところだナ」
今さらながらリズが少女に向けて放った疑問に、ショウキたちの前にいたプレイヤーから、思いもよらぬ肯定の言葉が返ってきた。今までは気にも留めていなかった相手であり、小柄な女性でフードを被っていたが、その奥から覗く猫のような髭に尻
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