「わかりません」
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れた刹那、頭上に一本の流星が走った。よくよく見てみればその流星はギルバートが持っていた薙刀であり、脇目もふらずに聖樹へと向かっていくと、その外壁を伝っていた蜘蛛のようなモンスターに突き刺さった。危険を感じて逃げ出そうとしていたのか、それともより的確な指示を手下に告げようとしていたのか――それは分からないが。少なくとも、あの蜘蛛タイプが寄生虫とやらだったらしく、ショウキを囲んでいた人型カマキリの群れも活動を停止していた。
「ショウキ! 大丈夫?」
「ああ……なんとか。でも少なくとも、使えはするらしい」
「そっか。ま、そこそこかっこよかったわよ」
主を失って沈黙する人型カマキリの群れが自動的にポリゴン片として破壊されるなか、メイスを片手に振り回しつつリズが心配そうに駆けてくる姿に、多少だけ驚いてしまうものの。どうにかその驚きを内心に留めながらも、ひとまずOSS《サウザンド・レイン》は実戦でもどうにか使えるらしい、と無事なアバターを見せながら示す。竜人ギルバートの一撃がもう少し遅かったならば、危なかったことには触れないでいて。
『……助かった。人族の勇者よ』
そうして装備していたゴーグルを頭部に外すと、先程よりかは楽になった様子の竜人ギルバートが、こちらに歩み寄りつつも聖樹を見上げていた。その瞳は悲しみに包まれており、やはりギルバート以外の竜人は――と思わせると、湿っぽいところを見せてたまるかとばかりに、ギルバートがこちらに振り向いた。
『……とにかく、助かった。お礼をしたいところだが、こんな有り様だからな。あるものと言えば……鉱石ぐら――』
「鉱石……!」
「鉱石……鉱石があるの!? ねぇねぇ、ちょっと見せなさいよ!」
新生リズベット武具店が慢性的な鉱石不足に悩まされていたのを謀ったかのような、そんな竜人ギルバートの言葉にリズ共々に二人で食いついた。とにかく鉱石を見せろと要求してくる二人の人間に、ギルバートは割りと引いていたような気がしなくもなかったが、特に目を輝かせるリズが止まることはなく。
「…………」
――そんな二人の姿を、黒髪の少女は何も言わずに、ただ見つめていた。
「いやー、最高だったわね!」
それから竜人ギルバートにお礼として案内された鉱山は、竜人たちの住みかとして聖樹が生み出したものだということで……あの第百層ボス由来の木であるならば、何があっても驚くまいと決心しつつ。そこから産み出された鉱石は多少なりともプレイヤー間で出回っているものとは勝手が違ってはいたが、充分に店の主力商品ともなるポテンシャルを秘めた鉱石であり、むしろその物珍しさでいい客引きになる代物だった。それをストレージ一杯に貰ってきた後に、足りなくなったらまた来てほしいというありがたい申し
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