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SAO−銀ノ月−
「わかりません」
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の正体はOSS《サウザンド・レイン》。いつぞやレインから貰った秘伝書の効果により、ショウキにもそのOSSを使用可能になった――とは言えなかった。レインのOSS《サウザンド・レイン》が単純な剣術ではなく、レプラコーンとしての鍛冶魔法やスキルを駆使して初めて発動する、彼女にしか使えない代物だったからだ。

 そもそもOSS《サウザンド・レイン》は、空間の狭間に武器を潜ませ素早く連続で取り出し中空に固定させた後、ソードスキルを伴ませてそれを発射するというものだ。それがショウキに秘伝書だけで再現できたのは、ソードスキルを伴った武器をストレージから取り出すことのみだった。ただし空間の狭間に潜ませられないために、中空に固定させることは出来ずに手で掴む必要があり、ソードスキルを伴っていると言えども武器にのみであり、ショウキの動きにシステムアシストが加えられることはなかった。

 ――そんなものは元から必要ない。システムアシストなどなくデスゲームを生き抜いたショウキには、ただソードスキルの威力を伴った武器を出現させる、それだけで充分だった。

「このっ! ……っと!」

 鞭をしならせて飛翔する人型カマキリの足に巻きつけ、地面を走る他の個体へと叩きつける。そして二体ともにまとめて切れ味自慢の日本刀で一閃するとともに、縮地を利用したステップで背後から襲ってきた人型カマキリの視界の死角へと入る。アバターのステータスの問題から、《縮地》による高速移動術は出来なくなったものの、まだ近距離で死角に潜り込むことは造作もない。

「……ぐっ!」

 そうしてメイスで真正面から人型カマキリを潰すものの、筋力値がギリギリだったからか、大きくショウキの身体はふらついてしまう。OSS《サウザンド・レイン》の効力は、あくまでソードスキルを伴った武器を出現させることが出来るまでであり、それを振るうことが出来るかは別問題だ。そして作ったばかりのこのアバターでは、大剣や両手斧、メイスなどを軽々と振り回すなどということは出来ない。さらにはその武器のスキルを習得しているわけではないので、武器を持ったままにしていようが、その武器のソードスキルを別に使うことも不可能だ。

「リズ!」

 振るう武器は全て、鍛冶スキル上げのためにリズベット武具店で造った武器であり、必要なステータスなどは把握しているつもりだったが、彼女が見ている前だからとやり過ぎたらしい。こちらが体勢を崩した隙を見逃さず、ジリジリと包囲を狭めてきた人型カマキリの群れを尻目に、二人のNPCを守っているリズの名を叫ぶ。

 あくまで今回のクエストの勝利条件は、敵を引き付け時間を稼ぐこと。自らの一族のことは自分で決着をつける、誇りたい竜人が終わらせてくれる。

「いいわよ! 伏せて!」

 リズの言葉が告げら
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