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SAO−銀ノ月−
「わかりません」
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ズにピッタリと離れずにいるのを見るに、どうやら彼女は――苦手な虫に相対するリズを勇気づけに残ったらしい。

「『こわい』時は他人と一緒にいた方がいいと聞きました」

「……そうね、その通り。代わりに、あたしがあんたを守ってあげるからね!」

『……準備はいいか?』

「ああ」

 見上げてくる黒髪の少女のことが気に入ったのか、少女の髪をくしゃくしゃと撫でて自らの背後に下がらせるリズを見つつ、ショウキは専用の薙刀を取り出した竜人ギルバートと肩を並べる。見るからに業物と分かるその薙刀は、竜人らしいこの世ならざる意匠がなされており、ひどく興味を引かれるものであったが自重する。

『聖樹に巣くう寄生虫は、自身の兵士を防衛にあたらせている。大したことはないが、数は多い。しかも聖樹の前では、ただでさえ弱っている私ですら全力を出せん……そこでだ』

 そして竜人の薙刀は炎を纏うと聞いてはいたが、どうやらデマではなかったらしく、竜人ギルバートの薙刀が小さく炎を纏う。ただ、その一撃は寄生虫に巣食われ弱った聖樹すらも粉砕しかねない威力であり、そうなれば竜人ギルバートの命もない。かといって長期戦ともなれば、数で劣るこちらが不利になるのは必定であるならば。

『私が隙を突く。君には寄生虫の手下を抑えてほしい』

「……了解」

 自慢の薙刀を投げ放つポーズを取りながら、竜人ギルバートはこちらを見据える。聖樹に巣くう寄生虫の本体を一撃で仕留めてみせるので、それまでは手下を抑えて時間を稼いで欲しいと。その作戦でいいと頷きながらも、ついついこんな格好のまま来てしまったが、とにかく動くのに邪魔なマフラーやシルクハットをしまっていく。

「あ、ショウキ。そのゴーグルだけは補正あるらしいから、装備してても大丈夫よ」

「あいよ」

 ローブの下に着ていた簡素なハーフメイル姿になりながらも、同じく着崩していたツナギをしっかりと着るリズの助言に、首にかけていたゴーグルを装備する。ゴーグル越しの視界は良好だったが、明らかに防具は今までのものより簡素でいて、イメチェンはともかくとしても装備を整える必要はあるらしい、などと今更に思いながらも。

『……では、行くぞ!』

 そうして竜人ギルバートを先導として、本来ならば竜人が住まうであろう洞穴へと突入する。内部にはまずかの世界樹を思わせる巨大な樹が鎮座する空間が広がっており、アレが話に聞いている『聖樹』であろう。どこかで見たかのような錯覚を覚えたが、それもそのはず――かの第百層ボスが操っていた、生命を与える白い大樹だ。その周りを竜人たちが暮らしていたと伺わせる生活スペースが広がっていたが、今やその場所は侵略者に奪われていて。

『ぬん!』

 カマキリを人型にしたような、それが寄生虫の手
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