「わかりません」
[4/10]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
の聖樹が……寄生虫に巣食われ、命を終えようとしているのだ』
「……で、その聖樹が死にそうだから、あんたも弱ってるわけ?」
『ああ……恥を承知で頼みたい。どうか、私に協力してくれないだろうか?』
実際に戦えば、今の自分では勝つ見込みがない竜人が弱っている理由は、力の源である聖樹が寄生虫に巣食われているからだと。その衰弱ぶりと先程の傷から、恐らく他の仲間はもう――とまで想像させた後に、ショウキは虫が嫌いだと公言するリズと顔を合わせれば、やはり彼女は顔をしかめていて。
「い、いいわよ。一緒に戦いましょ!」
『……助かる。着いてきてくれ、友よ』
若干、言葉を震わせながらも、リズは竜人ギルバートからの問いかけを受託する。NPCと言えども放ってはおけなかったのか、それとも何か理由があるのかは知らないが、ともかくクエストのログは更新されていた。HPゲージが完全に回復した竜人ギルバートの後を歩きながら、ショウキは未だに嫌そうな顔を隠さないリズに小声で問いかけた。
「……よかったのか?」
「ほっとくわけにもいかないでしょ! ……それに、ちょっと気になることもあって」
「気になること?」
「ええ。前の浮遊城の時に、ちょっとこの《マロメの村》には縁があったんだけど……前はこんな山はなかったのよね」
『あの山は私たちの領地として、つい先日に聖樹が作りたもうた山だ。見覚えがないのも当然だろう』
前の浮遊城――つまりはここがまだ妖精境ではなかった時には、まだ《マロメの村》の近くにこんな山脈は存在しなかった、と。妖精境になるにあたってリメイクされた地形ということか、とショウキが思えば竜人ギルバートから訂正が入り、どうやら山脈となったのはつい最近らしい。
『山で取れた恵を人にも与えて共生していたが……まあいい、着いたぞ。種族は違えども、三人の勇者に、感謝を』
「三人……?」
そうして竜人ギルバートに連れていかれた土地は、山脈をポカリと切り抜いた洞穴のようで。かのラストダンジョン《世界樹》のように、山を切り抜いて生活スペースにしているのだろう。深々と頭を下げてくる竜人ギルバートを見れば、戦いは近いと予感させ――三人だと呼ばれて、ショウキもリズも揃って背後を振り向いた。
「どうしましたか?」
「いや……悪い。着いてきてくれてたんだな。頼まれてた《マロメの村》は向こうなのに」
「リズが怖がっているようでしたので」
「え?」
もちろんそこに立っていたのは、そもそもショウキたちをこの場所に連れてきてほしい、と頼んだNPCの少女。もう《マロメの村》のすぐ直前には着いていたため、新しいクエストの方に集中していたことを謝罪すると、少女はまるで気にしていない様子で。それどころかリ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ