「わかりません」
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ベット先生からのありがたいアドバイスを意図的に無視すれば、少女から今回に連れていって欲しいと頼まれた、アインクラッド第二層《マロメの村》が山の下に見えてきていた。二層の主街区からはそこそこの距離が離れていて、鍛冶屋としてはそこそこの鉱脈はあったものの、特にこれといった名所はなかったと記憶している。
「まったく、もう。それじゃあね、あたしの名前はリズベット。リズでいいわよ」
「ショウキだ、よろしく」
「リズに、ショウキ」
「そそ!」
そんなショウキに不満げな様子を隠さないまま、リズは再び少女に視線を合わせて自己紹介する。そういえば自己紹介すらしていなかったと、リズとともにショウキも名乗ってみせれば、今度はリズにとっても合格だったらしく笑顔を見せてきて。
「では、リズにショウキ……アレはなんでしょうか」
「アレ?」
巨大な山の眼下に存在する小さな村、そんな形容が相応しいそんな場所で。少女を連れてきたついでに、二人で鉱脈を掘って帰るか――などと話していた、当の少女から《マロメの村》がある場所とは異なる方向へ指を指されて。指に釣られてリズと二人で振り向いてみれば、不可思議な光景が目についた。
「ちょっと! 大丈夫!?」
走りだすリズの向かった方向に倒れていたのは、竜人――と呼ぶべきモンスターだった。不可思議な光景というのは、ここはすでにモンスターが現れる場所ではないということ。モンスターとしても高位な竜人が、二層程度で倒れているということ。とはいえ放っておくわけにもいかずに、ポーションを取り出して先を走ったリズへ投げ渡すと。
「……人間の薬でも大丈夫?」
『……背に腹は変えられん』
「大丈夫ってことね!」
ふと、疑問に思ったらしいリズの呟きに竜人の重苦しい返答が告げられた後、リズから容赦なくポーションが放り込まれて。とはいえ流石は竜人といったところか、むせ返るようなことはなく飲み干すと、HPゲージを回復していくとともにゆっくりと身を起こした。その身体には全身に切り傷が刻まれている上に、それ以上に何らかの理由で衰弱が激しいようで、こちらとコミュニケーションが取れるまでに高いレベルの竜人とは思えぬ弱々しさだった。
『……礼を言わせてくれ。私の名はギルバート、ご覧の通りに竜人だ』
「その竜人がどうしたわけ?」
知り合いのタンクのような名前にショウキが反応するとともに、竜人ギルバートの頭上にクエスト発生のマークが浮かぶ。もしやと思い、背後にいたままのNPC少女を振り向いてみたものの、そちらには何の反応もない。少女に反応してクエストが発生したわけではないようだ、とは思いながらも、竜人ギルバートの話を聞いていく。
『……我々の一族は、ある聖樹から命を得ている。そ
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