186部分:第十四話 忍び寄るもの十二
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第十四話 忍び寄るもの十二
「新しい服ですね」
「そうですね。かなり定着しましたが」
「新しい白です」
それだという真理だった。
「新しい純潔です」
「それが私のですか」
「純潔にも。様々なものがあると思います」
真理は義正の言葉をそのまま返す形になっていた。二人はここでも同じ心になっていた。その同じ心での言葉をだ。話すのだった。
「だからです」
「新しい純粋ですか」
「新生でしょうか」
この言葉が出された。
「義正さんは」
「新しい純潔。新生ですか」
「はい、そう思います」
「では。私達は」
「高貴な情熱と」
「新しい純潔と。そして」
「勇気」
言葉になってだ。彼等が持っているものが紡ぎ出されていく。
「それを手にして今から」
「向かいましょう」
こうしてだった。二人はだ。
手を取り合いそのうえでだ。二人の前に向かうのだった。そうしてだった。
彼等はだ。遂にだった。
義正の両親の前に来た。そこは応接間だった。その場でだ。
義正の両親は二人の前に座っていた。その彼等にだ。
まずはだ。義正が言ったのだった。
「父さん、母さん」
「うむ」
父がだ。鷹揚に我が子に応えた。
「そちらの方がだな」
「はい」
静かにだ。父の言葉に応えるのだった。
「白杜真理さんです」
「そうだな。あの」
「はい、白杜家の末娘の方です」
「話は聞いていた」
父は腕を組みソファーに深々と座りだ。微動だにしない。
その顔でだ。こう我が子に言うのである。
「舞踏会でのことはだ」
「そうだったのですか」
「それでいいのだな」
父は鷹揚な言葉のまま我が子に問うた。
「御前はそれで」
「そのつもりです」
毅然としてだ。彼は父に述べた。
「だからこそここに」
「その娘さんを連れて来たか」
「はい、そうです」
また答える彼だった。
「なりませんか」
「若しもだ」
こう言ってであった。再び我が子に言う。
「ここで駄目と言えばどうする」
「父さんと母さんが」
「そう言えばどうする」
「それでもです」
迷うことなくだ。こう返す義正だった。
「僕はこの方と」
「共に生きたいというのか」
「はい、どうしても」
そうだとだ。また話す彼だった。
「私はこの方と二人で生きます」
「そうするのか」
「若しも」
今度はだ。母が彼に言うのだった。
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