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どんな汚れも
第三章

[8]前話
 バブルは怪獣との話を終えて教授と市民達のところに戻った、そのうえで怪獣から聞いた話をそのまました。
「怪獣は暴れるつもりはないです」
「そうなんだね」
「はい、ただ大阪の人達に言いたかったんです」
「その言いたいことは」
「大和川のことです」 
 怪獣がいるこの川のことだというのだ。
「大和川は汚いですね」
「残念ながらね」
 その通りだとだ、教授も答えた。それも苦い顔で。
「色々とね」
「その汚れが酷くてヘドロも溜まって」
「川がとても汚れていた」
「そのことを大阪の人達に訴えたかったんです」
「それでだったのか」
「はい、あの様の姿になって」
 大和川のヘドロを身にまとってだ。
「今の大阪の街に出て来たんです」
「川は奇麗にか」
「そしてひいては」
「大阪自体もだね」
「奇麗にして欲しいと」
 そう主張したかったというのだ。
「大阪は昔は今より遥かに奇麗だったからだと」
「そうだった、大阪もかつては」
 教授もここで気付いた。
「奇麗な街だった」
「今よりずっとですね」
「私が生まれる前だが」
 その頃の古い大阪はというのだ。
「ずっと奇麗だった、そして川もな」
「大和川もですね」
「他の川もな」
 大阪の川は多い、だがそのどの川もというのだ。
「奇麗だった」
「怪獣もそう言っていました」
「そして元の様にか」
「奇麗な川に、街になって欲しい」
「そう願ってか」
「僕達の前に現われたんです」
 敢えてだ、ヘドロを全身にまとってというのだ。
「大阪の人達なら出来ると」
「そうだな、一人一人が心掛けていけば」
「出来ますね」
「出来ない筈がない」
 教授は断言した。
「我々が」
「はい、それじゃあ」
「これからはな」
 まさにとだ、教授はバブルに答えた。
「大阪の環境を大事にしていこう」
「怪獣の訴えを聞いて」
「皆でな」
「僕達はこれからそうしていくから」
 バブルは今も川にいる怪獣に顔を向けて話した。
「期待していてね」
「君の願いは受け取った」
 教授も怪獣に言う。
「だから安心してくれ」
「大阪の環境は自分達でしっかりしないとな」
「さもないとどうにもならない」
「だから頑張ろう」
「皆で」
 大阪の市民達も誓い合った、そうしてだった。
 怪獣に約束した、そして実際に彼等は大阪の環境を守って奇麗にするのだった。そしてその中にはバブルもいてだった。
 今日もモップと洗剤を手に頑張る、大阪の街も人達も奇麗にする為に。


どんな汚れも   完


                    2018・1・23
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