第二章
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「しかしそれでも」
「それでもですか」
「何かを訴えたい」
「そのことは間違いないんですね」
「おそらく」
教授はその川から出てその岸辺で立ったままでいる怪獣を見て市民達に話した、怪獣は全高五十メートルはあり尻尾もある。
だが詳しい姿はわからない、全身をヘドロに覆われていて。
それで大阪の市民達は怪獣の姿と匂いに困っていたがそこにバブルが来て彼等に対して強い声で言った。
「ここは僕に任せてくれますか」
「バブル君にかい?」
「あの怪獣を」
「任せていいんだね」
「はい、あの怪獣の目を見て下さい」
ヘドロの中に見えるその目をだ。
「とても悲しい目をしていますね」
「そういえば」
「凄く悲しい目をしているね」
「何かを訴えたいみたいな」
「そんな目だね」
「はい、ですから」
バブルは市民達に強い声で答えた。
「僕がその訴えを聞きます、そしてその訴えは」
「君にはわかるんだね」
「はい、あのへドロと匂いです」
バブルは教授にも答えた。
「その汚さが原因です」
「まさか」
教授はここではっとした、それでだった。
しっかりとした顔になってだ、バブルに問うた。
「ヘドロ自体が」
「そうだと思います、ですから今から」
「君がだね」
「あの怪獣を奇麗にします、あの怪獣の本来の姿は違いますよね」
「文献によるとね」
教授はバブルにも文献の話をした、大阪のことについて書かれた古い文献で教授が持っているものだ。
「ヘドロはなく龍みたいな姿をしていたというよ」
「それならです」
「ヘドロはだね」
「後からついたものです」
最初からあったのではなく、というのだ。
「昔はヘドロはありませんでした」
「あくまで近代からのもの」
「工業廃水とかが原因ですよね」
「その通りだよ」
教授はバブルにはっきりと答えた。
「結局ゴミとかそうしたものはね」
「人が出すものですから」
「皮肉なことだがね」
「ですからわかる気がします」
「あの怪獣がどうして出て来たか」
「そして何を訴えたいか、ですから」
「彼のその訴えを聞く為に」
「ここは僕に任せて下さい」
モップを手にして言うのだった、そしてだった。
バブルは怪獣の方に跳んだ、そうして怪獣の全身に一瞬で洗剤をかけてモップで全身隈なく洗った。水も己の力で出してだった。
怪獣を一瞬で洗ってしまった、後には後ろ足で立ち全身を鱗に覆われていた頭に一本の角がある怪獣がいた。
その怪獣を見てだ、教授は市民達に言った。
「あの怪獣こそがだ」
「文献に出て来た怪獣ですか」
「大和川の近くに住んでいた人達を洪水から護った」
「その怪獣ですか」
「そう、あの怪獣こそは」
まさにというのだ。
「その怪獣だ」
「
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