第三章
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「そうしています」
「ボクシングとか出来なくても」
京志郎は自分が励んでいるスポーツから思った。
「戦えて人を助けることが出来る」
「そうなりますね」
「確かにこうして椿さんとお会いしてお話してますと」
京志郎も今わかった。
「和んで。心が落ち着いて」
「それだけで、です」
彼女も言った。
「癒される気持ちになります」
「その癒しが大事とのことです」
まさにとだ、椿は京志郎の彼女に笑顔で答えた。
「市長さんにも大阪を守護する神仏にも言ってもらっています」
「神様や仏様にも」
「認めてもらってるんですね」
「はい、ですから僕はこれからも僕の力で」
椿のこれ以上はない癒しの和やかな力でというのだ。
「大阪の街と人達を護らせて頂きます」
「これからも」
「そうしてくれますか」
「大阪の街と人々がある限り」
椿は二人にこれ以上はないまでに澄んだ笑顔で答えた、そうしてそのうえで二人とさらに話した。その話の後でだった。
京志郎は彼女と共に椿に別れを告げて病院を後にした、そして帰り道に彼女にこう言ったのだった。
「あの人がどうして戦士かわかったぜ」
「そうよね」
「ああした戦士の人もいるんだな」
「戦わない戦士もね」
「そして戦士ってのは何かもわかったぜ」
笑ってだ、京志郎は彼女に言った。
「そのこともな」
「じゃあ戦士は何かしら」
彼女はわかったと言った京志郎にあえて聞いた。
「一体」
「護る人だよ」
「護る人なのね」
「大切なものや人をな」
澄んだ笑顔でだ、京志郎は彼女に答えた。
「護る人がな」
「戦士なのね」
「大阪の街や人を護る、か」
椿の言葉をここで反芻した。
「あの人は戦士だな、じゃあ俺もな」
「戦士になるの?」
「なりたいな、ボクシングをやるだけじゃなくてな」
「心構えもね」
「そうなるか、頑張ってな」
京志郎は彼女に澄んだ笑顔のまま話した。
「俺も戦士になるぜ」
「応援してあげるわ」
「おう、応援してもらうぜ」
笑顔はそのままだった、そうして彼はこの時から心構えをより確かにさせた。そうして大人になった時は立派な夫であり父親になっていた。妻と子供達を護ることの出来る。
椿の力 完
2018・1・22
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