第二章
[8]前話
「その花が大阪の春にないのは悲しいことです」
「だからですか」
「そのお力で咲き誇らせて下さったのですか」
「嵐の前みたいに」
「そうしてくれたんですか」
「舞で」
「はい、市長さんのお願いを受けまして」
自分のことは奥ゆかしく隠して話した。
「そのうえで」
「市長さんがそうしてくれたんですか」
「今回もまた大阪の為にですね」
「そうしてくれたんですね」
「そうです」
大阪の市民達に話した。
「全ては、では」
「はい、これからですね」
「大阪の春を楽しむ」
「そうすべきですね」
「春は桜です」
日本の春、ひいては大阪の春はというのだ。
「ですから」
「これからですね」
「お花見をしたりして」
「桜を愛でて」
「春の訪れを楽しめますね」
「そうされて下さい」
桜は大阪の人達ににこりと笑って言った、そしてだった。
そのままそっと身を隠した、だが市長は次の日に彼の家を訪問してそうしてだった。彼に笑顔で感謝の言葉を述べた。
「この度もどうも」
「いえ、お気遣いなく」
桜は市長に笑顔で応えた。
「これもまた戦士の務めです」
「大阪二十六戦士の」
「はい、ですから」
それでというのだ。
「お気遣いなく」
「そうなんだ、けれど」
市長は桜に申し訳なさそうに言った。
「このことを僕がお願いしたとするのは」
「事実ではないですか」
「事実でも僕が言う前にもう」
動こうとしていたというのだ。
「そのことを言わないなんて」
「それも当然です」
桜は市長にこのことについても答えた。
「至って」
「戦士として」
「戦士は手柄なぞ求めないです」
大阪二十六戦士、彼等というのだ。
「ただ大阪の街と人達を護る」
「それが望みであり義務だから」
「そうです」
「だからなんだ」
「手柄なぞいりません」
市長に清らかな声で答えるだけだった。
「私も」
「そうなんだね、何かね」
桜のその心を知ってだった、市長はあらためて思った。
「桜さんは本当に桜みたいな人だね」
「その名と力の様にですか」
「うん、桜みたいに奇麗なね」
「そうした心の持ち主ですか」
「名前の通りにね、本当にね」
実にとだ、市長は桜本人に話した。
「そう思ったよ、じゃあこれからもその心と力でね」
「大阪の街と人達を」
「護ってくれるかな」
「喜んで」
返事は他にはなかった、実際に微笑んでだった。
桜は市長に答えた、そして大阪の街と市民達を護る為に戦い働き続けるのだった。その名前である花の様に清らかに。
咲き誇れ大阪桜 完
2018・1・22
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