ペルソナ3
1943話
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なる。
美鶴はそれを知っているからこそ、ここで口を挟む事が出来ないのだ。
武治の方は……へぇ。プレッシャーを感じている様子ではあるが、それでも取り乱したりはしていない。寧ろ、覚悟を決めた様子すらある。
それを見て、武治の方に殺気を向ける。
じわり、と次第に強くなっていくその殺気は、美鶴には一切の影響を与えず、武治だけにその効果を向けていた。
武治も、自分が今どのような状況にあるのかという事は、しっかりと自分では理解出来ていないのだろう。
だが……いや、だからこそ、現状が危険だと理解しつつ、それでも取り乱さない武治の様子に感心する。
「へぇ。……思ってたより、度胸はあるな」
その言葉と共に、放っていた殺気を解く。
殺気を受けてみっともなく騒ぎ立てるような真似でもすれば、恐らく俺は武治を切り捨てただろう。
その切り捨てるというのが、実際に切り捨てるという意味なのか、もしくは影時間に関しての協力態勢を切り捨てるのか……そのどちらになるのかは分からなかったが、それでも明日以降の協力態勢とならなかったのは間違いない。
「はぁ、はぁ、はぁ……」
殺気から解放された事により、武治が荒い息を吐く。
そこまで強力な殺気という訳ではなかったんだが……このペルソナ世界のような一般的な世界で暮らしている者にしてみれば、十分強力な殺気だったのかもしれないな。
「アクセル! お父様に一体何を!?」
「安心しろ。別に特に何もしていない。ちょっと殺気を当てただけだ」
「……殺気?」
俺の言葉に、意味が分からないといった様子で呟く美鶴。
まぁ、この世界だと殺気とか気配だとか、そういうのはあまり重要視されてないしな。
そうである以上、俺の言ってる事を理解出来なくてもおかしくはない。
死神辺りとの戦いになれば、殺気とかそういうのを感じる能力も必要になってくるんだが……幸か不幸か、今のところ死神が狙うのは俺だけだしな。
「ああ。武治の事を心配なのは分かるが、少し落ち着け」
実際には、それこそ心臓が悪かったりすれば、殺気を受けた衝撃で死んだりするという事もあるらしいが……今の殺気程度では、到底そんな事にはならない筈だった。
「……分かった」
若干不承不承ながら、それでも美鶴は俺の言葉を聞いて大人しくなる。
そんな美鶴を見てから、改めて武治に視線を向け、口を開く。
「ゆかり……岳羽の家にお前達がした事は、俺にとっては許せる事ではない。だが、結局のところ、その問題はゆかりの問題だ。俺が手を出すような事じゃない」
なら、何で今俺がそれを口にしたのか……という問題はあるのだが、ゆかりは俺にとって大事な存在だ。
このペルソナ世界で、唯一本当の俺という存在を知っている相
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