ペルソナ3
1942話
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ものだったが」
実際、俺がこの世界に来たのは本当に偶然だ。
ゲートが妙な具合に反応した結果なのだから、偶然以外の何物でもないだろう。
敢えて言うのであれば、運命の悪戯といったところか?
「ふむ、偶然か。……だが、影時間については? シャドウに関しては、この地にいなければそう会う事もないだろう。だが、影時間については……この地にいないくても、存在した筈だと思うが」
「そうなんだろうな。ただ、俺が影時間について認識出来るようになったのは、ここに来てからだ」
「……偶然この地にやってきて、偶然影時間への適性を手に入れた、と?」
「そうなるな」
偶然が3つ重なれば必然と言うが、幸い今はまだ2つだ。
……偶然魔法を使える俺が、という要素を加えれば3つになってしまうのだが。
「……そうか」
まだ何か言いたそうだったが、ここで無理に何かを言っても意味はないと判断したのか、追求はない。
実際、俺が怪しいというのは、俺自身が一番知ってるしな。
そう思っていると、部屋の扉がノックされる。
「失礼します。お料理の方をお持ちしましたが……構わないでしょうか?」
「ん? ああ、頼む」
一瞬こちらに向けられた視線に頷きを返すと、すぐに桐条の父親は扉の外に向かってそう告げる。
すると先程のメイドと、それ以外にも何人かのメイドが姿を現し、ターンテーブルの上に料理を置いていく。
そこにはエビチリ、酢豚、麻婆豆腐、青椒肉絲 回鍋肉、フカヒレの姿煮……といったように、俺でも知ってるような中華料理から、名前も知らないような中華料理も含めて幾つも並べられていく。
続いて一羽分の鳥の焼かれた物が出てくると、それを最初に俺たちをここに案内したメイドが切っていく。……ああ、北京ダックか。
北京ダックを切ったり、それを餃子の皮よりも薄い生地に他の具と共に包むといった手法は、ある程度専門性が必要となる。
だが、メイドは特に苦労することなく、それを行っていた。
……メイドって凄いな。
ちなみに、北京ダックそのものは、以前四葉に食べさせて貰った事があるので、これが初めてという訳ではない。
「どうぞ」
メイドに促され、北京ダックを口に運ぶ。
薄い生地の感触の後に、北京ダックの濃厚な味付けが広がり、それを次の瞬間には一緒に生地に包まれている野菜が和らげる。
ちなみに、普通北京ダックといえば皮だけをこうして食うのだが、今回に限っては俺の食欲を考えてか、皮と一緒に肉もそれなりに切り取られていた。
これまでの手際を見る限り、技量不足で皮だけを切り取る事が出来なかったというのは考えられない以上、最初からそのつもりだったのだろう。
そして、俺にとってはそっちの方が嬉しいのも事実だ。
水餃子
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