4話→プロトタイプIS
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腰に手を当てて喜びに笑っている束に安心感を覚える太郎。
しかし、直後に大事な事に気づいた。
「全く気にせず着といてあれだが、これ何に使うの?」
それである。
自分や束、千冬が世間一般で言う『中学生』という枠からは外れているのは自覚しているが、流石に変身ヒーローにならなきゃいけない『敵』なんて、もってはいない。
昔束が、『そうだ、私の好みの人間だけを残して理想の世界を……』とかラスボスムーブしかけていた時には、珍しく千冬とコンビ組んでお話(物理)をしたんで、それもなし。
そうなると、他に理由が思い当たらないのだ。
首を傾げた太郎に、束は噛んで含めるように答えた。
「前に話した夢は覚えてる?」
「大魔王ムーブの事なら。私の好きな人間以外消えろ的な奴だろ。」
「ふふふ、珍しくちーちゃんとタローちゃんがタッグを組んでやって来たやつだよねぇ。一晩中お話しして楽しかったあ」
「お前はそうかもしれないが、俺は大変だったんだよ。流石に放任主義の両親にも怒られたしな。全く、こっちは世界征服を阻んだヒーローみたいな事してたのに、3○ーでやったみたいな疑いかけやがって」
ブー垂れている太郎を尻目に、束は言葉を続ける。
「そこで私は考えました!私の望み通りの世界がないなら、作れば良いって!」
そう言うと、束は天井に指を向けてその『世界』の場所を高々と謳い上げた。
「そう、宇宙に!」
「……うん?」
何、この鎧、そんな目的で作ったの?
ヒーロースーツかと思ったが、実情は宇宙服だったらしい。
それは別に良いんだが……
「ちなみに俺はそこまで宇宙に詳しくないんだが、宇宙にはシャトルで行くんじゃないのか?」
「凡人はね?私の作ったそのスーツなら、単独で大気圏離脱から突入、宇宙遊泳まで出来るよ!」
「怖すぎるわ!何、俺は一般的な科学知識しかないが、これで宇宙まで行くなんて、どんなスピードで打ち出されるんだよ!」
流石に天才の束とは比べられない浅い知識しかないが、このスーツ一つで宇宙に出入りというのがどれだけ無茶苦茶かは分かる。
正直、普通なら断るという選択肢一択だろう。
だが、同時に思う。
もしこの計画が成功すれば、すげえ利権が生まれないか。
山田太郎は凡人である。
『転生』という下駄を履かせても、成れるのは精々エリートサラリーマン。
ベンチャー企業の社長になって大金持ちとか、政治家なんて出来る才はない。
だから、自分の夢『自分の意のまま好き勝手生きる』という夢は、大きく制限がかけられるだろう、と半ば諦めに似た達観をしていたが。
(こいつは成功すれば、人類史に残る発明になる。しかも今のところ、計画段階
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