第四十六話
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ゃない。限りなくあいつらと似たような、化け物とも言われる存在。
心のどこかで、『違うもの』と思ってしまう。
異質。異端。異常。
例えば、よく春雨や千尋は潜って海の中道から奇襲を仕掛ける。
だけど、普通は艤装を装着した状態で潜ることなんてできるはずがない。
なのに…………千尋は。
「それがさ…………嬉しかったんだってさ。解放された、みたいな?」
時雨は苦虫を噛み潰したような顔でそう締めた。
…………私は、なんで時雨がイライラしているのかわかった気がした。私も、恐らく時雨と同じ理由でイライラしているから。
常に一緒にいるのに、春雨にそう言って励ませなかったこと。
人によっては無責任にも感じる千尋のセリフ。
ただ―時雨がイライラしているのは、それだけじゃ無いっぽい。
多分―春雨に腹を立ててるっぽい。
ほら、春雨って正直じゃない?『何があったの?』って聞けばあっさり話しちゃう。
で、時雨に話した。わざわざ誰にも話さずにベッドの中に居たのに…………。
春雨よ。そんなこと考えて無いだろうけどさ。それじゃ私たちへの当て付けにも聞こえるよ。そこまで気を回せるなら黙っとけよ…………。
時雨も、そんな意味でいってる訳じゃないってわかってるとは思うけど…………まぁ、うん。
「…………ほ、ほら!お風呂でも行くっぽい!そしたら全部、水に流せるっぽい!」
あ、いけないこと言ったっぽい。
重くて暗い雰囲気を嫌って言ったけど…………絶対やらかした。
予想通り、ピリピリした雰囲気を先ほどの三倍くらいに膨らました時雨。もはやオーラが見えてきそうだ。
「…………ごめん、私は、後にっ、しとく…………ぐすっ。」
春雨は、無理矢理笑顔を作ってそう言った。痛々しい笑顔だった。
…………ごめん、春雨。
「…………僕も後にしとく。それと、今日は夏樹のところに泊まる約束してたから。それじゃ。」
時雨はそう言うと、そばにおいてあった着替えやらタオルやらを手にとって立ち上がる。そのまま私たちの方を見向きもせず、外に出ていった。
…………ヤバイっぽい。本気でイライラしてる。木曾の本名言っちゃう位だ。過去最高レベルだろう。
「…………そ、それじゃあ、また明日!おやすみっぽい!」
「…………うん、おやすみなさい。」
私と春雨は、どこかぎこちない感じで挨拶を交わした。
そのまま私は、後ろ髪を引かれるような思いで部屋を出た。
―自室―
「―ということがあって!時雨は部屋に戻らないし、イライラしっぱなしだし、春雨はずっと落
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