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魔法少女リリカルなのは 絆を奪いし神とその神に選ばれた少年
真・四十九話 帰還する希望
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女達の記憶が戻らなくても仕方ない事だと思っているだろ?それが間違いなんだよ」
「まち、がい……?」
「そうだ、彼女達の本来の記憶達だって元に戻りたい。全、それにはお前の協力が必要不可欠だ。だが、お前自身がそれを望んでいない。違うか?」
「それ、は……」
全は反論しようとするが、出来なかった。全部麻子の言う通りだからだ。
そこまで麻子は言うと、威圧感を解きしゃがむと優しく全を抱きしめた。
「し、師匠?」
「全、人はな一人じゃ生きていけない。生きていけるとか宣っているバカはため込まれていく物に気付いていないだけだ。お前は一人じゃない」
「師匠……」
「私はお前を助けて、お前を育てて、お前と一緒に……お前やあいつらと一緒に過ごせて本当によかった。悔いはない。だから、全。悔いのない人生だった。最後にそう言えるような人生をお前にも歩んでほしい」
「………………」
「彼女達はお前と共に歩んでいきたいと思っている。お前は彼女達を引き離すことで逆に彼女達を苦しめてしまったんだ」
「お、俺は…………」
「そうだよな。彼女達にも幸せになってほしいもんな、でもな全。お前だって彼女達を幸せに出来る。いや、お前にしか出来ないんだ」
「俺に、しか…………」
「ああ、そうだ。お前にしか出来ない。お前が、彼女達を幸せにしてやるんだ」
「師匠…………俺、俺…………!」
「ああ」
麻子はそう言うと、抱きしめるのをやめる。全は立ち上がり、麻子に向き直る。
「俺…………あいつらと、向き合ってみる。俺、頑張る……!」
「ああ、行ってこい全!東馬の分まで幸せになってこい!!」
「はいっ!!!!」
全はそう言うと泣きながら、その場から姿を消した。きっと、現実に戻っていったのだろう。
麻子を天を見上げる。そのまま数秒ほど見続ける。
そして息を吐くと
「それで?お前さんは出てこなくても良かったのかい?」
誰もいない空間に向かってまるで誰かに問いかけるようにそう声を発した。
すると麻子が声をかけた空間が歪み、その場から女性が現れた。
白とも銀髪ともとれる髪を足元まで伸ばし、おとぎ話に出てくる神様のような恰好をしている。
まあ、合っているのだろう。彼女は神なのだから。
「私が出て行っても、何も出来ないと思うし……励ますという点でなら貴女の方が適任でしょ?」
「いやいや、
母
(
・
)
親
(
・
)
の言葉に勝てる言葉なしってな」
そう、今出てきた神こそ天照大御神。またの名を上月真白。東馬の実の母親だ。
「それでもです。私じゃ甘やかしちゃって……」
「ああ、お前も旦那さんも東馬に甘かったそうだもんな。東吾に聞いたよ」
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