暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは 絆を奪いし神とその神に選ばれた少年
真・四十九話 帰還する希望
[1/4]

[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話
なのはとアリサ、すずかが気絶してしまった全を守りながら戦っている頃。

全はどこともしれない所で深い眠りについていた。

ここは全の心象世界。人にはそれぞれ心の奥底に一つの世界を持っており、ある世界ではこの心象世界が現実を侵食する術があり、それを神達の間でいう大禁呪で固有結界という。

だが、人それぞれ別の世界を持っているが、全の心象世界には何もない。白一色だ。

それもその筈。全が何も求めていないからこの世界は白一色なのだ。

そしてそんな場所で全は横たわっている。これは別に絶望したという訳ではない。ただ、心に深い傷が出来、その傷の一部が治ったからここでさらなる回復を待っているのだ。

そして、そんな横たわっている全のすぐ傍に近寄る女性の姿があった。

青みがかった黒髪はストレートで腰の所まで伸びている。しゃがんでいるがそれでもその身長が高いのが目に見えてわかる。

「おぉい全。起きろぉ」

女性は全の頬をぺちぺちと軽く叩くが、全は起きる気配がない。

「うぅん…………」

「やっぱり起きる気配はないか…………仕方ない。これは最終手段を使うべきだな」

女性はそう言うと立ち上がり、どこからともなく、中華鍋とお玉を取り出した。

「右手にお玉、左手に中華鍋…………今、眠りの権化から汝を切り離そうぞ!」

そんな大仰なセリフを傍で大声で叫ばれているにも関わらず、全は起きようとはしない。まあ、それだけ深い傷が出来ていたのだろう。

しかし、女性はそんなのお構いなしとばかりに、伝統的なるあの技を放った。

「これぞ秘技、“死者(ししゃ)の目覚め”!!!」

ガンガンガンガンガンガンガンッ!!!!!!

「うわぁ!!?な、なんだ、敵襲かっ!!??」

あまりにも大きな中華鍋を叩く音に堪らず全は心の傷の回復の事など考えずに起きる。

「やっと起きたか……お前ら、あまりにも眠りが深い時はこれでないと起きんからな」

「だって、疲れて……る…………か…………………ら……………………」

全は傍にいる女性を見ながら唖然としてしまった。自身の心象世界に他の人間がいるのにも驚いているが、それ以上に目の前の女性が今ここにいる事が信じられなかった。

「し、()()………………?」

そう、彼女こそ緋村麻子。全の前世での師匠にして、世界最高にして最強の人間である。

それもその筈。全達の前世での裏の世界には強さのランキングとも呼ばれる物がある。別名「手を出してはいけない人物ランキング」だ。

麻子が死んでからは全がそのランキングで一位に輝いていたが、それまではずっと麻子の独壇場だったのだ。一位と二位の差は歴然であり、誰もが「一位の人間に手を出すくらいなら、喜んでその
[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ