巻ノ百二十 手切れその十一
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「そして他の星の輝きを妨げておるわ、それに対してな」
「もう一方は違う」
「そうなのですか」
「二つの将星があるが」
そちらにはというのだ。
「一方が大きく強く輝いてな」
「そして、ですか」
「そのうえで」
「そちらを導いておる」
そのもう一方をというのだ。
「そしてな」
「相当な強さですか」
「そちらは」
「盤石なものがありますか」
「うむ、おそらく戦はそちらが勝つ」
黄色い大きな星がある方がというのだ。
「間違いなくな」
「黄色といえば徳川家ですな」
「徳川の具足や旗は黄色です」
「井伊家だけは赤ですが」
井伊の赤備えだ、武田家の強さを見てその強さを受けようとその赤備えを受け継いでいるのだ。
「それでもですな」
「黄色となりますと」
「やはり」
「うむ、幕府じゃ」
幸村もこう見ていた。
「やはりな、そしてもう一方には金色に輝く星もあるが」
「金色は豊臣ですな」
「太閤様の頃よりそうですし」
「黄衣といえども実は金色ですし」
「具足も旗も」
この辺り派手好みな秀吉らしい。
「それではですな」
「その暗い大きな星は」
「やはり」
「わかるな、そして拙者とお主達に大助はな」
今は大助もその場にいる、それで彼にも声をかけたのだ。
「大坂に入る様じゃ」
「そちらにですか」
「やはりそうなりますか」
「うむ、それも星に出ておる」
そこにというのだ。
「我等の星が出ておる」
「左様ですか」
「大坂方で戦いますか」
「そうなりますか」
「そうじゃ、幕府につきたい者はおるか」
ここで十勇士達と大助に問うた。
「お主達の中に」
「いえ、ありませぬ」
「それはありませぬ」
「我等にしましても」
「それはありませぬ」
「決して」
まずは十勇士達が口々に答えた。
「我等と幕府は相いれませぬ」
「どうしましても」
「例え幕府から文が来ましても」
「断りましょう」
「そうしましょう」
「それがしもです」
大助も父である幸村に言った。
「やはりです」
「お主もじゃな」
「幕府につくことは考えられませぬ」
「我等は幕府とはどうしても相容れぬな」
「そうしたものがあります」
このことは大助もわかっていて言うのだ。
「これまで多くの戦を経てきましたし」
「そうじゃ、しかもな」
「我等にはやらねばならぬことがありますな」
「関白様にも頼まれておる」
秀次、彼にというのだ。
「右大臣様のことをな」
「だから余計に」
「幕府の陣営に加わることはない」
そうなるというのだ。
「大坂で戦う」
「そうなりますな」
「そしてじゃ」
「右大臣様をお守りする」
「何があろうともな」
そうするとだ、幸村は我が子に話した。
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