第5章:幽世と魔導師
第142話「一般人」
[9/10]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
れかの命を切り捨てないといけない。……覚悟を決めておきなよ」
そもそも、視界が悪い状態で、どこにいるのかもわからない妖に注意しつつ人命救助に当たるという事自体が危険すぎる。
路地裏とかに行ったら、あっさりと首を掻き切られるよ。
「例えば……」
ザシュッ!
「ギ…ィ……」
「……ほら、こんな風に背後から襲われても、気づけないでしょ?だから夜道は危険なんだよ」
「っ……!?」
彼らの背後に迫っていた妖を、庇うようにあたしが割り込んで刺し貫く。
「分かったら、さっさと避難場所に戻って、そこを守ってて。後、あたしが言った事を上に報告しておいてね」
「っ、待て!お前はどこに…!」
「あたしにもやる事があってね。…もしかして、帰り道で護衛してもらえると思った?…悪いけど、あたしにも時間がないから無理だよ」
それに、その担当はかやちゃんだ。
あたしが優先するように言われた事は、飽くまで夜の間にできるだけ門を閉じたり妖を減らす事。……夜目が利いて夜に動きやすいあたしだからこその任務だ。
「さ、さっき自分で言っていたのに……」
「あー、夜道は危険だって事?あたしの場合は夜目が利く種族だから無問題。それじゃあね。発生源の一つは潰しておいたから、この辺りの妖はこれ以上増えないよ」
「ま、待っ……!」
彼らの言葉を聞かずに、あたしは蝙蝠となってその場を後にする。
……何気に、ここまでやればあたしの種族は分かるよね?
「……ん〜、薄情な事しちゃったな」
昔なら仕方ないと割り切れるけど、今は納得いかないと思われる事をした。
いや、こういうのは“切り捨てられた”側からしたらどんな事でも納得いかない。
「…大丈夫だよね」
彼らは何かに焦っていたり、思い詰めている様子はなかった。
……詰まる所、“誰かが欠けている”様子は見られなかった。
ただ表情に出していないだけだとしても、それができる程の精神性があるという事。
だから、大丈夫だろう。
「……あれ?」
山沿いを進みながら、見かけた妖を倒していると不可解なものがあった。
「…戦闘の跡?」
木に残る何かが刺さった後や、術を使ったと思われる霊力の残り香。
明らかに、戦闘の跡だった。
「(悪路王の所で見た跡とは違う……それに、この刺さった後は…)」
木に残る跡は、あたしもよく見た事のあるものだった。
……矢が刺さった跡だ。
「(……式姫?)」
現代まで生き残った式姫の誰かが、ここを通ったのだろう。
「(……戦ってるのは、あたし達だけじゃない)」
きっと、生き残っていた式姫たちも、
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ