第5章:幽世と魔導師
第142話「一般人」
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張ってなかったらそうなるよね。
「っ、誰かいるぞ!?」
「(……見事に警戒しているね)」
ライトであたしを見つけた人達は、近づくのを躊躇っていた。
ここで馬鹿みたいに近づいて来ていたら、叱責の一つでもしていたよ。
「(さてと…)こんばんは、今の状況で夜道は危ないよ?」
「っ……!?」
連携を取るように言われているけど、夜のこんな場所で遭遇した所で無茶もいい所。できるだけの事はやってみるけど、どうなるか分からないね。
とりあえず、ふわりと舞い降りるように彼らの前に出る。
当然の事ながら、彼らは体を強張らせるように驚いた。
「やだなぁ、そんな化け物が現れたみたいな反応。……いや、気持ちは分かるよ?こんな状況、普通なら君達みたいな反応が当たり前なんだから」
「……お、お前は、“何”だ?」
……うん、わかってた。あたしが人と見られない事ぐらい。
むしろ、人と見られてた方がまずい。主に彼らの命が。
人らしくないように、あたしは平然と振舞っていたからね。
不自然に思わないと人に化ける妖にあっさり殺されちゃうからね。
「まずは及第点って所かな。……あたしは人間ではない、とだけ言っておくよ。いちいち種族とか言ってたらキリがなくなるからね」
「っ……!」
式姫にも色んな種族がいるからねぇ……。
…と、やっぱりと言うべきか、拳銃を構えちゃったか。
「とりあえず報告と忠告をしておくよ。君達は多分、山の上で起きた事を観測して、様子見としてここに来たんだろうけど……その原因はあたしだね。今、日本中を騒がせている化け物…妖の発生源の一つを潰す際にちょっとやらかしてね」
「………」
いきなりの情報量に、困惑と混乱が起きている。
とりあえず、彼らが情報を何とか頭の中で整理するまで待たなきゃね。
「……もういいかな?他の人達に報告する際は、戦闘があったとでも言っておけばいいよ。ありのままにね。……で、忠告だけど…出会い頭に言った言葉の通り、夜道は危険だよ。現代でも魑魅魍魎の類は夜に活発になるって事は知られてるでしょ?」
「……妖怪…か…」
「厳密には違うけど、その認識で間違いないよ。一応現代兵器も効くけど、限りがある上に根本的な解決ができない。それなのに態々危険な夜に出るって言うのは消耗するだけだよ」
それに視界も悪い。夜目が利かないのなら、防衛だけにした方がいい。
「しかし、だからと言って民間人を放置する訳には……」
「その結果、犠牲者が増えるだけだよ。ハイリスクローリターンよりも、ローリスクローリターンの方がいいでしょ?」
「っ……!」
「……選択しないといけないよ。この状況では、助けられる命に限りがある。ど
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