第5章:幽世と魔導師
第142話「一般人」
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うべきか、当然と言うべきか。
死者は普通に出ていた。妖に貪られ、見るも無残な死体になった者もいた。
以前の時は妖も一般で知られていたから、そこまで珍しくもなかった。
だけど、今は違うだろう。死体を見る機会が減ったからこそ、その衝撃は大きい。
「……助けられなかったのか?先程のような力がありながら」
「力があれば何でもできると思うのは傲慢よ。何事にも限界はある。……全能の神だって、全ての人間を救える訳ではないでしょう?」
神の分霊の私が、別の神の事を言うのは何かおかしいけど、例としては充分だろう。
「とにかく、行動は夜が明けてからにしなさい。貴方達の拠点に戻るわよ」
「……ついてくるつもりか?」
「説明と、救援が必要でしょ。陰陽師とかじゃなくて、魔法の組織だけど、戦力がある事に越したことはないわ。……どの道、情報を共有する必要があるの。もたもたしているとまた襲われるわよ」
……言ってる傍から一体襲ってきた。即座に倒しておく。
倒す度に彼らの何人かが驚くけど、これで驚いていたらキリがないわよ?
「(…さて、優輝や葵とかは上手く行ってるかしら?)」
私の方は比較的大人しい方だったけど、あの二人は龍神が相手だ。
既に私と葵で富士龍神は倒したけど、一人だと話は別。
……まぁ、あの二人なら大丈夫……よね?
べ、別に心配してる訳じゃないわよ!?……何自問自答してるのかしら?私…。
=葵side=
「っと、っと、っと!」
地面に叩きつけられそうになるのを、上手く着地して回避する。
すぐに何度か後ろに飛び退く事で、追撃も躱す。
「いやぁ、さすがは北上龍神。……一筋縄ではいかないよね」
既に何度も攻防を繰り広げている。
龍神の体には何本ものあたしのレイピアが突き刺さっている。
……それでなお、ピンピンしている。
「あたし、殲滅力がないのが欠点だよねー」
元々盾役だったあたしは、魔導師みたいに殲滅力がある技を使えない。
そこはかやちゃんも同じだけど、あたしは遠距離もあまり使えないからねー。
「(でも、それは式姫だった時の話!)」
忘れてはならない。あたしは今となってはユニゾンデバイスだ。
霊術だけでなく、魔法も使える。……この差は大きい。
「シュート!」
振るわれた尾を跳んで躱し、お返しとばかりに魔力弾を叩き込む。
攻撃はさっきからずっと通っている。
それなのに倒すのに時間が掛かっているのは、偏に龍神がしぶといから。
「……小さい傷はすぐ回復しちゃんだよね」
魔力弾で傷つけた箇所は、すぐに再生されてしまった。
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