第5章:幽世と魔導師
第142話「一般人」
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同時に振り返り、私の後方にいた二体を射る。
最後に襲い掛かってきた空中の一体を、短刀で斬りつけて倒す。
「なっ……!?」
「雑魚で助かったわ」
驚く警察の人達を余所に、そんな事を呟く。
雑魚じゃなければ、私一人だと守り切れないもの。
「怪我はないかしら?」
「あ、ああ……」
彼らは未だに私を警戒している。判断としては正解ね。
でも、それでも私の問いにしっかりと答えてくれた。
「お前は……一体……」
「人の味方、とだけ今は言っておくわ」
説明するにしても、相手の数が少ない。
もっと広く知ってもらわないと、意味がないもの。
「……4人。……少し、少ないわね。もしかして……」
「っ……」
この状況なのに、四人と言うのは少なすぎる。
やはりと言うべきか、彼らは口をつぐんだ。
「……そう。…でも、立ち止まっている暇はないわよ」
誰かがやられたのは間違いないだろう。
だけど、それで彼らは立ち止まる訳にはいかない。
……命の価値は、昔よりも重くなっている。
だからこそ、これ以上の犠牲は極力減らさなければならない。
「とりあえず、今すぐ知ってもらいたい事は三つよ。一つ、夜は外出は控えて防衛に専念しなさい。二つ、妖…貴方達にとって化け物が多くいる場所と、瘴気…黒い霧みたいなものがある場所には極力近づかないようにしなさい。三つ、奴らが襲ってくる優先順位があるわ。それを知っておきなさい」
「……どう言う事だ」
その返答は、なぜそれらを知っているのか、と言う事と、今言った事そのものに対してだろう。とりあえず、今言った事だけでは伝わり切らないので、補足を加える。
「まず一つ目について、妖は夜の方が活発になるわ。まぁ、魑魅魍魎の類なのだから当然ね。そして二つ目。妖が多い場合も、瘴気がある場合も、発生源が近くにあるからよ」
「……俺達はその原因を探しに来てるんだ。むしろ、それを探してこそ…」
「じゃあ聞くけど、貴方達はその発生源を潰す方法があるのかしら?現代の科学を使った技術だと、どうしようもないわよ?」
「っ……」
そう。一般人では幽世の門を閉じる事は絶対に不可能だ。
いえ、一般人だけではないわ。霊術の類が扱えない限り、どう頑張っても門のある空間を封印までしかできない。
「避難している人や、貴方達の中にもなんとなく感付いている人はいるでしょう?…こういうのは、陰陽師の類が必要だって事は」
「っ、しかし、そのような存在は…!」
「架空…とでも言いたいのかしら?じゃあ、私はどうなのかしら?」
「うっ……」
まぁ、現実を受け入れたくないのはなんとなくわかるわ。
信じられない事が
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