第5章:幽世と魔導師
第142話「一般人」
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“未知”が相手なら、江戸の時もこれぐらい混乱し、惨状を引き起こす事はあり得る。
「“平和”が“危機”を齎すなんてね……」
だからこそ、“争い”は忌み嫌われるのだろう。
「………」
ふと、そこで足を止める。
「(人の気配……どうやら、避難場所の近くまで来たようね)」
さっきまで散らばってあった妖の霊力が感じられない。
その代わりに人の動く気配を感じる。
妖がいないのは、警察辺りが倒したのだろう。雑魚なら倒せるしね。
「っ、誰だ!?」
どうやら、私を発見したらしい。
夜間なため、私に懐中電灯の光を当てて近づいてきた。
「っ……!?」
「(警戒している?……あぁ、耳と尻尾ね)」
少し近づいた所で、彼らは驚いて立ち止まった。
私の尻尾と耳に対して、視線が集まる。
「……化け狐……」
「…失礼ね」
彼らの内、誰かがそう呟いたために、つい返してしまった。
「っ……!」
「……まぁ、警戒するのも無理はないわ」
一般人でも、架空の存在として妖怪は知っている。
そして、今の状況はその妖怪が溢れかえっているようなもの。
その上で私が現れたら……普通は妖狐の類と思うわよね。
「…………」
「………」
彼らと私は、しばらく無言のまま睨み合う。
私はともかく、彼らは途轍もなく警戒していようだ。
「…私ばかりに気を取られていいのかしら?」
「っ……!」
「そうしていると……」
「う、撃―――」
弓を構える私に、危険を感じたのか、彼らは銃を構えた。
だけど、撃たれる前に私は矢を放つ。
ドスッ!
「―――え…?」
「…死ぬわよ?」
けど、その矢は彼らの間をすり抜け………背後に忍び寄っていた妖に命中する。
「周囲の警戒を怠らないで!」
「ひっ……!?」
「こ、これは……!?」
一喝した所で、彼らは気づく。
……数体の妖に囲まれている事に。
「まったく、世話が焼けるわね…!」
今までこの妖達が襲ってこなかったのは、彼らが周囲を警戒していたからだろう。
例え彼ら自身は気づいていなくとも、妖はそれを見て機会を伺っていたのだろう。
……私と遭遇しなければ、彼らは死んでいたわね。
「(彼らの後方にもう一体、左右に一体ずつ。私の後方には二体。それと……上ね!)」
彼らへと駆け寄ると同時に、薄く霊力を広げて場所を確認しておく。
合計六体。……余裕ね!
「ふっ!はっ!」
まずは跳躍して、彼らの後ろにいたもう一体を射る。
そして、即座に御札を取り出し、左右に一枚ずつ投げる。
着地と
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