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儚き想い、されど永遠の想い
169部分:第十三話 運命の告白その十二

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第十三話 運命の告白その十二

 彼等は義正を見て動かなかった。あえて温かく見守るようになっていた。
 そしてそれは。彼等も同じだった。
 真理の兄達はだ。困った顔でいた。だがそれでもだった。
「あそこまで。真理が言うなんてね」
「ありませんでしたね」
「これがはじめてです」
 真理の姉達はこう兄達に話すのだった。
「けれどそれが一途で」
「あまりに純粋です」
「その一途さがあれば」
「真理さんは」
「そうだね。大丈夫だ」
 兄もだ。妹達の言葉を受けながらだ。
 真理、末の妹を見てだ。言うのだった。
「素晴しいことだ」
「では兄さんはですか」
「真理さんを」
「止めはしない」
 心はだ。完全に決まっているのだった。
「真理は幸せになるべきだ」
「だからこそですね」
「ここは」
「私は決めた」
 何を決めたのか。このことも言うまでもなかった。
「真理を見守ろう」
「わかりました。それでは」
「私達も」
 二人も頷いてだ。彼女達も動かなかった。
 そしてだ。真理の両親のところにはだ。
 伊上が来てだ。こう話すのだった。
「どう思われますか」
「娘のことですか」
「私達の娘の」
「はい、そうです」
 まさにだ。彼女のことであった。伊上が二人に問うたのは。
「御息女について。どう思われますか」
「けしからん話です」
 まずは父が憮然として言った。
「よりによって八条家の者とは」
「本当に。何故なのでしょうか」
 母もだ。夫に続いて述べる。
「何故あの家の御子息と」
「やはりそう思われますか」
「はい、そうです」
「その通りです」
 二人は伊上にすぐに言葉を返した。
「我が家と八条家は長い間の因縁があるというのに」
「それなのに」
「因縁ですか」
 因縁と聞いてだ。伊上はだ。
 その因縁についてだ。こう話すのだった。
「ねじれただけの因縁ですね」
「ねじれたですか」
「それだけですか」
「はい、それだけです」
 こう二人に話す伊上だった。
「ねじれただけならば」
「それだけならばですか」
「それではですか」
「そうです。なおすだけです」
 そのねじれをだというのだ。
「そうしましょう。今ここで」
「今ここで」
「そのねじれをですか」
「私はそう思います」
 微笑んでだ。二人に話すのだった。
「ねじれ、いがみ合っても何にもなりません」
「だからですか」
「それでなのですか」
 二人は伊上の言葉ニ考える顔になった。そのうえでの言葉だった。
「つまり矛を収め」
「話し合うべきですね」
「はい、そうです」
 また微笑んで話す伊上だった。

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