ターン86 百鬼の疾風と虚無の仮面
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て集合してください。またこの避難訓練が終了し学内の全生徒の安全が確認されるまではいかなる理由に置いても単独行動は禁止しますので、最低でも2人以上のグループを組んで行動するようお願いします。それでは、質問等は現地で改めてお受けしますので』
なんだか無茶苦茶な内容を話すだけ話して、始まった時と同じように唐突に放送が切れる。え、避難訓練?どゆこと?訳が分からず完全にフリーズしているところに、すかさず葵ちゃんの言葉が突き刺さる。
「先輩。なーにがカッコつけて『それなりに真剣な話』なんですか?」
「ちょちょちょ、ちょっと待って!え、ええ?あれ?」
いったい僕の知らないところで、何が起きているんだ。混乱するあまりいっぱいいっぱいになって言葉に詰まる僕に追い打ちをかけるかのように、ポケットに突っ込んであったPDFが着信音をけたたましくわめきたて始めた。
「え、ええ!?なんなのさ、もう……!」
「いや先輩、今のは冗談ですよ。何かしらあるのは察しがつきましたから、テンパってないで出てあげればいいじゃないですか」
冷静な葵ちゃんにたしなめられて落としそうになりながらも着信を知らせるそれをどうにか引っ張り出し、着信相手も見ずに通話ボタンを押す。なんでこの間の悪い時に電話してきやがるんだとの怒りを込め、画面に何か映るより先にヤケクソ気味に怒鳴りつけた。
「はいもしもし遊野です!」
『俺だ、三沢だ。今の放送は聞いたな?よく聞いてくれ、少し頼みたいことがある。細かいことは後で説明するから、今すぐ廃寮に向かってくれ。到着したら連絡を頼む』
じゃあな、との言葉を最後に、それだけ言って通話が切れてしまう。
……まるで意味が分からない。でも三沢があそこまで説明不足な状態で人に指図せざるを得ないということは、なにかそうせざるを得ない理由があるんだろう。それにこのわけのわからない状況の中、問題を先延ばしにしただけとはいえ当面の目標がはっきりしたのはありがたい。少し落ち着きを取り戻してPDFをポケットに再び突っ込んだタイミングを見計らい、葵ちゃんが席を立った。
「私には、何がどうなっているのかまるでわかりません。わかりませんが、先輩と他に何名かが何か大掛かりなことを始めようとしていることだけはわかりました」
言いながらカウンターの後ろに素早く回り込み、さっとかがんで持ってきていたらしい彼女のカバンを持ち上げる。そのまま部屋を出て行こうとしてドアまですたすたと歩き、途中でぴたりと足を止めた。振り返って僕と目を合わせ穏やかに、でも力強く語りかけてくる。
「何を企んでいるのかは知りませんが、先輩がやろうとしているのならば私はその判断を信じますよ。だから、私からは何も言いませんし聞きません。先輩のことですから、失敗するとも思いま
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