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儚き想い、されど永遠の想い
168部分:第十三話 運命の告白その十一
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第十三話 運命の告白その十一

「一本気にな」
「一本気に」
「それは途中で曲がっては駄目だ」
「曲がれば終わりですね」
「少しも曲がってはならない」
 そうしただ。厳しいものでもあるというのだ。
「二人は今それを我々に見せてくれているのだ」
「それでなのですが」
「それでか」
「旦那様と奥様が最後まで果たされれば」
 その覚悟をだ。果たせばというのだ。
「どうなるでしょうか」
「そこからはじまるのだ」
 そうなるとだ。伊上は佐藤にも話すのだった。
「二人の幸せがだ」
「御二人で歩まれることがですか」
「これまでは序曲だった」
 西洋の歌劇にだ。例えての言葉だった。
「しかしこれからはだ」
「幕があがるのですね」
「その幕があがるかどうか」
 伊上のその言葉に真剣なものがさらに宿っていく。
「それはここで決まるのじゃよ」
「決められるのは旦那様と奥様ですね」
「何でも決めるのはそうじゃ」
 そうだともいうのだ。
「自分自身で決めることじゃ」
「それが今なのですね」
「そうじゃ。それができる時代にもなった」
「明治になり大正に移り」
「そうれならばそうあるべきじゃ。家同士のしがらみも消せる様になったのじゃ」
 それならばそうするべきだというのだ。是非共だとだ。
「では。これからじゃ」
「はい、見させてもらいます」
「今の二人に手出しはさせぬ」
 その手筈は既にしていた。彼の二人への助けはそれだった。
「安心して見ていればよい」
「後はお二人のお覚悟だけですか」
「それが少しも曲がらなければよいのじゃ」
 それで果たせるというのだ。はじめることを。
「言葉ではそれだけじゃ」
「言葉ではですね」
「行うのは難しい」
「実際に行うことはですか」
「それは難しいのじゃ」
 言葉で言うよりも実際に行うことの難しさ、伊上はそのことも話した。
「さて、果たせるかどうか」
「見させてもらいます」
 佐藤も腹を括った。彼も見守ることにした。そうしてだ。
 義正はだ。場でさらに話すのだった。
「私達は何があろうともです」
「二人で共にいます」
 真理も言った。
「私達が別れること、それはです」
「決してありません」
「二人の命が終わるまでです」
「私達は共にいます」
「こうして二人で」
「何にも分かれさせることはできません」
 二人で言うのだった。ここまで聞いてだ。
 まただ。義愛と義智が話すのだった。
「言い切ったな」
「そうですね」
 呆れていた。しかしその呆れたものにはだ。
 感嘆も含めてだ。そして言うのだった。
「だがな。一途なものを見せてもらった」
「はい、そしてそれは」
「綺麗だ」
 義正は微笑んで言った。
「見事なものだ」
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