167部分:第十三話 運命の告白その十
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第十三話 運命の告白その十
二人は舞踏を終え静まり返っている場でだ。二人寄り添ってだ。
義正がだ。こう言うのだった。
「私、八条義正はです」
「それを言うんだな」
「本当に」
義愛と義智がだ。固唾を飲んで呟いた。
「義正、御前は」
「そのことを」
「こちらにおられる白杜真理さんと」
真理を見てだ。そうしての言葉だった。
「交際しています」
「やはりな」
「そうか」
まずは義正の二人の兄達が言った。
「交際していたか」
「まさかと思ったが」
二人は末弟の言葉を聞いて呟いた。
そしてそのうえでだ。彼の話をさらに聞くのだった。彼はさらに話していた。
「そしてやがてはです」
「まさかと思うが」
「そうですね」
今度はだ。真理の両親達が言うのだった。
「真理と」
「あの人が」
「結婚したいと考えています」
こうだ。義正は正面から堂々と言った。
「そのことを考えています」
「私もです」
そしてだ。真理もだった。意を決した顔で言うのだった。
「私も八条義正さんとです」
「結ばれたい」
彼女の兄の言葉だ。
「そう言うのか」
「その八条家の方と」
「自分から言うのですね」
姉達もだ。ここで言った。彼女達の顔は蒼白になっている。
「嘘みたいな話ですけれど」
「これは真なのですね」
「そうだ、真だ」
他ならぬそれだとだ。兄は二人の妹達に話した。
「今私達は真理の今を見ているのだ」
「真理さんの今を」
「それをですか」
「あの娘は本気だ」
そのことを察してだ。そうして妹達に話すのだった。
「幸せを自分で掴もうとしているのだ」
「だからなのですね」
「今あの場所にいる」
「そうだ。私達は今あの娘の心を見ているのだ」
今度はこう話す兄だった。
「では見るよしよう」
「旦那様、頑張って下さい」
佐藤もいた。彼も主と共にこの場に来ていたのだ。
そしてそのうえでだ。主を見てだ。呟くのだった。
「そうして御自身の幸せをお掴み下さい」
「彼はやってくれる」
伊上がだ。その佐藤のところに来て言うのだった。
「ここまで来れば覚悟だ」
「覚悟ですか」
「人で何が最も大事か」
そのこともだ。彼はこれまで生きてきて政治の世界で見てきたそのことを話すのだった。その話すことはまさに人間そのものだった。
「それは覚悟なのだ」
「覚悟ですか」
「いざという時に何処まで果たせるか」
それがだ。覚悟だというのだ。
「意を決してな」
「では旦那様と真理様は今」
「その覚悟を出しているのだ」
今まさにだ。そうしているというのだ。
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