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儚き想い、されど永遠の想い
166部分:第十三話 運命の告白その九

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第十三話 運命の告白その九

「ここはです」
「受けるな」
「そうさせてもらいます」
 二人もまたそうすると決めたのだった。
 真理の兄と姉達もだ。戸惑いを見せていた。
 義正と踊る末妹を見ながらだ。まずは姉達が兄に尋ねた。
「お兄様は宜しいのですか」
「今の真理さんは」
 こうだ。怪訝な顔で尋ねるのだった。
「ああして八条家のご子息と踊っていて」
「宜しいのですね」
「止めたい」
 兄はだ。本心から話した。その義正とはまた違った細い眉の整った品性のある顔を曇らせてそのうえで妹達に話をするのだった。
「真理を何としても」
「そうですね。私も」
「私もです」
 妹達もここで言うのだった。
「ですが今はです」
「舞踏の最中は」
「何もできない」
 自分の父達とだ。彼等は同じことを言っていた。そしてそれは義正の兄達と同じだった。彼等は気付かないままそうなっていたのだ。
「見ているだけだ」
「そうですね。今はですね」
「それしかできませんね」
「残念だがな」
 兄は苦い顔で真理以外の妹達に話した。
「では。ここにいるとしよう」
「残念ですが」
「そうしましょう」
 彼等も見ているだけしかできなかった。両家の関係者達はそうしていた。そうした両家を見ながらだ。伊上だけが会心の顔でいた。
 その会心の顔でだ。彼は舞踏を見ながら周りにまた話した。
「では舞踏の次だ」
「今の音楽が終ってからですか」
「それからですか」
「そう、それからだ」
 こう自分の後ろに控える彼等に話すのだ。
「それからまたはじまる」
「あの、それではです」
「我々は今はです」
「何をすればいいでしょうか」
「まずないとは思う」
 伊上はその彼等に話した。
「だが。二人に対して何かをしようとする者が出るかも知れん」
「何かをですか」
「具体的に言えば引き離す」
 その二人をだ。物理的にだというのだ。
「そうしようと軽挙に出る者が出るかも知れん」
「ではそうした方に対してですか」
「我々は」
「そうじゃ。見張ってくれ」
 警護だった。
「そして動く者がいればじゃ」
「わかりました。それでは」
「そうさせてもらいます」
「今のうちに両家の周りについてくれ」
 八条家と白杜家、その両家の人間の周りにだというのだ。
「これからが一番肝心じゃ」
「これからがですか」
「肝心なのですか」
「今は序曲じゃ」
 西洋の歌劇に例えての話だった。
「序曲が終ってからが本番じゃからな」
「そうですか。それでは今から」
「両家の方々の周りにつきます」
「そうさせてもらいます」
「頼んだぞ」
 こうしてだった。伊上は裏方として二人を護っていた。その彼の支えを受けながらだ。

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