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僕は死んだ
1

[1]後書き
僕は死んだ

大きな理由はない

人間でいることに嫌気がさした それだけだ

神様と言うのは

本当に存在するものなのか

それも確かめたかったのかもしれない

いなければ

運命に生まれ変わるつもりで

僕は死んだ


*
はっと、目が覚めた。
茶色い壁と床に、黒い点が溢れる。
…ふっくらした楕円が二つ繋がっている。
一つ目の楕円には細い糸が。
ふたつ目の楕円には、細かく小さな糸が。

…蟻。

頭にそんな考えがよぎると、
訳がわかった。

さっきまで、僕は死んでいた。
そこから、蟻の大家族の一人…否、一匹にに生まれ変わって、今に至る。
成る程そういうことだと一人納得した。

ふ、と後ろを振り返る。
幼虫のような卵の抜け殻。
僕はここから生まれて来たようだ。

とりあえず、歩き出そう。

僕は細かく足を動かし始める。
操作が難しい。
それもそうだ。
今まで二本だったのが昆虫で6本。左右3本ずつ。
人間だった時が蘇る。

…!

そうだ。

僕は人間が嫌で仕方がなくって死んだんだ。

僕は今、蟻。願いは叶った。
これだけで幸せと考えるのが良い。

そう思うと、足の動かし方なんてどうでもよくて、本能のままに光の方へと歩き出した。

…眩しい!

光が。日光が。さんさんと輝き生命の誕生を祝福する。
なんて平和なこと。
生前の記憶を探れば、蟻の産卵時期は7〜8月。
それはそうだ、太陽がまぶしいのも自然の掟だ。
これまた一人納得す

グジャグブ

僕は潰れた。

僕は死んだ
[1]後書き


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