1話→俺、転生
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「タローくん!あーそーぼー」
「ちょっと待っててー」
無邪気に自分を呼ぶ声に、太郎はランドセルを部屋に投げながら答えた。
我ながら気持ちの悪い子供の振りだが、実際身体は小学生なのだからしょうがない。
学校で勉強し、友達の家でゲームをして、暗くなるまで外で遊ぶ。
コミュニティ内で弾かれないためには、多少の『演技』は必要だった。
まあ、どんなものにも、例外はあるのだが。
そう呟きながら、太郎は肩にバットとグローブを背負い、友達の声の方に向かって足を向けた。
午後5時
帰りの市内放送に合わせて家に帰る。
彼の現世の家、山田家は共働きで正直門限なんてあってないようなものだが、彼には5時に帰らなければならなかった。
「ただいまー」
「おーかーえーりー」
自分の部屋から聞こえる、両親以外の声。
その声にため息をつきながら、太郎は部屋のドアを開けた。
開けた先にはいつもの勉強机、本棚、ベッド。
そして、同年代の女性が二人、ベッドの上に座っていた。
「また来たのかよ、束、千冬も」
「だって、暇なんだもん」
ロングの髪をヘアバンドで押さえた少女が肯定すると
「違う、私はこいつにつれられただけだ」
ショートボブの少女が否定を返す。
「あいあい、とりあえず飯にするか。この間篠ノ之おじさんに肉貰ったし」
そういうとヘアバンドの少女、篠ノ之束は露骨に嫌な顔をして。
ショートボブの少女、織斑千冬は顔を輝かせた。
え?なんでこんな事になってるか?だって?
いや、しゃーないんだよ。
欲望に忠実に生きるニュー山田太郎として、小学生ライフ満喫してたら、なんか二人が同じクラスになって。
可愛いからちょいちょい目をかけてたら、先生から二人に友達が居ないから宜しくと頼まれ。
俺みたいに周回詐欺をしてる疑惑のある束と、バーサーカー補正でもついているのかという、暴力マシン千冬と生半可な形では仲良くなれないと理解して早二年。
何故か俺は学校からも、束の家族からも二人の面倒を頼まれる間柄になり
気づけば謎のおさんどん山田が誕生していた。
なん……だと……とか言いたいが、事実である。
しかも厄介な事に、俺の両親はこれを甘酸っぱい青春のナニかと勘違いしてるらしく、気づけば俺の家で飯を食うのが日常茶飯事になっていた。
いや、確かに小学生とはいえ可愛い子と触れあうのは楽しいよ。
ただ、苦労と利益があってねー気がすんだよな。
言葉にするのを我慢しながら、彼は一人キッチンに向かった。
もし彼が未来を見通せたら言うだろう。
やっぱり俺は間違ってなかったと。
二年後、中学2年の夏から、彼の運命
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