157部分:第十三話 運命の告白その一
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第十三話 運命の告白その一
第十三話 運命の告白
義正はタキシードで舞踏会の場に来ていた。そこにはだ。
彼の二人の兄達も来ていた。義愛と義智もだ。二人もまたタキシードを着てそのうえで舞踏会に来ているのだ。二人はその場を見て義正に話した。
「少し変わった舞踏会の場だな」
「そう思わないか?」
「そうですね」
義正もだ。彼女のその言葉に応えて言う。
「白いですね」
「舞踏会というよりここは」
「そうですね」
二人の兄達はその場を見回しながら話していく。
「西洋の結婚式の様な」
「そうした場所ですが」
「はい。これはどうやら」
この場をこの様にしたのは誰か、そしてどうしてこうしたのかはわかっていた。それをわかってうえで兄達に対して話をするのだった。
「趣向を変えていますね」
「趣向を」
「それをか」
「ただ舞踏をするだけにしてもです」
兄達への話だ。
「いつもの様に金色で飾るみらびやかなものだけでは飽きてしまいますね」
「言われてみればそうだな」
「確かに。それは」
「はい、だからです」
それでだと話す義正だった。真実は察しているが今はそれを隠して兄達に話すのだった。
「伊上先生はこうした舞台にされたのでしょう」
「そうか。それでか」
「こうした場にしたのか」
「そうではないかと」
義正は真実を隠したままであった。
「ですがこの舞台もまた」
「そうだな。いいものだな」
「清らかだ」
兄達も末弟のその言葉に頷く。それでいいと頷いたのだった。
そしてだった。三人はだ。こんな話もした。今度は最初に義愛が言った。
「それにしても欧州は白が好きなのかな」
「白がですか」
「そんな気がした」
こう義智にも話すのである。
「今こうしてここにいるとだ」
「確かに。今の舞台は西洋のものですし」
「そうですね。そう思われますか」
「白は清純そのもの」
義愛は話す。
「欧州ではそのイメージだからこうなったのだろうか」
「ただ。白は」
「白は?」
「隠せません」
義智はここでこう言うのだった。
「隠せるものは何もありません」
「それが問題か」
「少しでも白くないもの。即ちです」
「邪心をだな」
「はい、それを抱けばです」
どうなるのか。義智が話すのはそのことだった。
「それはすぐに出ます」
「他の色なら絶対に出ないこともな」
「思えば。確かに白は清らかです」
義智もその清らかさは認めて話す。しかし彼はその清らかさにだ。こう言い加えるのだった。
「ですが」
「その少しでも邪なものがか」
「それが加わり。やがては白でなくなる」
「そうなっていくか」
「人はそうしたものでもあるのではないでしょう
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