炎竜王
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タッタッタッタッ
土砂降りの中を走り抜けてアメフラシの街を後にする。これから目指すのはポーリュシカさんの住んでいる家。
「ジュビアさん、大丈夫ですか?」
「はい。グレイ様のためならこれくらい」
グレイさんの手がかりを得るために向かうと言ったら案の定ジュビアさんも付いてきてしまった。多少は風邪もウェンディのおかげで治まってるようだけど、やっぱり心配。
「無理しないでくださいね、ジュビアさん」
「ええ。ありがと、ウェンディ」
彼女のことも考えて雨を突っ切ってからは歩き出す。というか、よく空を見てみると雨の中を突っ切ったというよりは雨雲が止んだと言った方がいいかもしれない。グレイさんを見つけられるかもしれないとわかった途端、ジュビアさんの表情が明るくなったからそれに影響されてるのかな?
「でもグレイさんに会ってたんだね、シリル」
「あとで詳しく聞かせてもらいましょうね」
「ご・・・ごめんなさい・・・」
セシリーがウェンディたちに先程のことをチクッてしまったので俺の体に以前異変が起きていたことが白日の元になってしまった。おかげで彼女たちからはジト目で見られるし、最悪である。
「「ん?」」
そんなこんなでしばらく歩いていると、何やら遠くで騒がしい声が聞こえる。
「どうしたの〜?シリル〜、ウェンディ〜」
「いや、向こうが騒がしくて・・・あれ?」
結構遠くからだが俺たちの耳には確かに争っている声が聞こえる。でもそれ以上に引っ掛かっているのは、そちらから流れてくる匂いについてだ。
「この匂い、グレイさんじゃない?」
「「「え!?」」」
俺たちが探しているグレイさんの匂い。いや、他にも知っている匂いが混ざっているぞ?
「グレイ様ぁ!!」
「あ!!ジュビアさん!!」
「待ってください!!」
グレイさんがいるとわかったら逸る気持ちを抑えられないジュビアさん。彼女は先程まで悪かったはずの体調のことなどふっ飛んでしまい、喧騒のする方へと飛んでいき、俺たちも後を追いかける。
「ジュビアさん速すぎ!?」
「姿が見えないんだけど!?」
普段からあんなに速かっただろうかと思うほどの速度で走るジュビアさんの背中はもう見えない。でも、まもなくするとたくさんのフードを被った怪しげな男たちがウジャウジャしているのが見えてきた。
「あれ、ルーシィさんだ」
「ホントだ!!」
「「え!?」」
オレンジ色のショートヘアの少女の前でお腹を押さえて震えている金髪の少女。それを見た瞬間、おおよその検討がついた。
「ルーシィさんは私に任せて、シリル」
「了解」
群がっている男たちを蹴散らし彼女がいる位置までウェンディを連れていく。彼女はルーシィさんに手を向けると、それ
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