加賀の恐怖体験・4
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助けて!いやああああぁぁあぁぁぁぁ!」
加賀の絶叫が広間に木霊する。今から起こるであろう惨劇を予想し、少しでも抵抗しようと動かせる指先を僅かに動かす。が、背中に乗って加賀を固定している赤城が背中に乗ったまま蠢く指にかじりついた。ゴリッ、という鈍い音が響くが、加賀の意識は指を噛まれた事など些末な事だと痛みを感じさせない。いや、痛みを感じる余裕すらない、といった方が適当だろうか。
「クはっ、ふハハははっ、ぎゃははははハハはははははっ!」
眼球に針が近付く毎に喧しくなる提督の笑い声と加賀の粗い呼吸。垂れる涎も、溢れ出る涙も、指一本動かせない現状では拭う事すら出来ない。やがてそれらは絶叫から悲鳴に変わり、ブツリ、という生々しい音と共に右目から零れる涙は紅く染まった。
「あああぁぁぁぁあぁぁ!っぎ、いぎゃあああぁぁぁぁあぁぁ!」
右目に走った尋常ではない激痛に耐え切れず、加賀は絶叫を最後に、意識を手放した。
ーーーー賀さんっ!大丈夫、加賀さんっ!?
「あああぁぁ……あ、あ……?」
「大丈夫?加賀さん。大分うなされていたみたいだけど……」
痛くない。それにここは……皆で床に就いた空母寮の談話室だ。そして何より、私の隣にいるのは。
「赤城……さん?食べられたんじゃ……」
「もう、私が誰に食べられたっていうんです?」
苦笑いを浮かべ、少し困惑したような表情を浮かべた赤城さんが、そこにいた。
「そう……少し、怖い夢を見ました」
アレは、夢だったの?アレほど生々しく、痛みをリアルに感じたのに。
「明日も早いですし、もう寝ましょう?」
「……そうですね」
目を閉じ、直ぐにスゥスゥと可愛らしい寝息を立て始めた赤城さんを見て、ホッと胸を撫で下ろす。
『やっぱり夢だったんだ……私も早く寝よう』
そう思って布団に潜り込んだ。と、誰かが起き上がる気配。
『トイレかしら……?』
暗がりで目を凝らすと、起きたのは提督らしいと判別が付いた。提督は、寝ている皆を起こさないように、慎重に歩を進めていく。……あれ?
『何かしら……これと同じ光景を、どこかで見たような……』
既視感……デジャヴュという奴だろうか?しかし、何処でそれを見たのかがハッキリとしない。まるで脳内の記憶領域に靄がかかってしまったように。その時、提督がドアの前でピタリとその歩みを止めた。煙草を銜えて火を点ける。軽くふかして紫煙をフーッと吐き出すと、バニラの香りがフワリと漂ってきた。
「加賀」
ドキリ、と心臓が跳ね上がる。気付かれないように寝たフリをしているのに……起きているのが解っているかのように名前を呼ばれた。提督はクルリとこちらへ向き直り、ニヤ
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