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提督はBarにいる・外伝
加賀の恐怖体験・4
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「アガ……ギャギョアアァァァァ!」

 悲鳴と共に、メキメキと音を立てて身体を変化させていく駆逐イ級。人間のような形となった頭部の両サイドに、砲塔を備えた巨大な口のような物が出現。駆逐艦ではなく、軽巡ヘ級と呼ばれている存在となったようだ。

「ヘ級ですか。駆逐イ級からの変体には規則性が見られませんね」

「そうだな……個体としての能力の差でそうなっているのか、それとも………」

 憲兵と提督は、変体を遂げたヘ級に然したる興味も示さず、考察を進めて議論を重ねている。まるで見慣れた光景だ、とでも言わんばかりに。

 普段は優しく凛々しい提督の、裏の顔。何を企んでいて、何が望みなのかさえも解らない。その感情の見えない無機質とさえ言えるその声音を聞いて、ギャップのせいか加賀の恐怖心は既に精神を振り切り掛けている。逃げ出そうと足を動かそうとしているが、足がすくんで動けない。と、そこへ部屋に居なかった荒木が担架を押してやってきた。その上に寝かされている存在を見て、加賀は目を見開いた。頭の中は真っ白になっていた。

「お次はコレじゃな」

「しかし、運がいい。正規空母の奇形なんて、滅多に生まれませんからね」

 担架の上に寝かされていたのは、加賀と同じ正規空母であり、栄光の一航戦を支えた赤城だったのだから。赤城は眠らされているのか、担架が震動しても起きる気配がない。

「え、嘘、何で……!?」

 加賀は混乱していた。何故赤城が?提督は何故赤城を抱きかかえているのか?先程まで手足を投げ込んでいた隙間に近寄っているのは何故なのか?何故?何故?何故?疑問は浮かんでは消えていく。そしてその答えは、目の前で実行された。




 提督は一瞬の躊躇も見せず、ヘ級に向かってかかえていた赤城を投げ込んだのだ。ズルズルと身体を引き摺るように、腕を使って落ちてきた新たな『餌』に近寄っていくヘ級。そして間もなく、肉と骨を噛み砕く生々しい音と共に絶叫が室内を満たした。加賀はただ呆然と、そのグロテスクな光景を傍観する事しか出来なかった。

「ア……ゲゥ、うー……ウー……」

 まだ足りない、もっと寄越せとでも言うように、餌の落ちてくる穴に這い寄って来るヘ級。その姿はまるで、飯を強請る巨大な赤子のようだ。

「う〜む……正規空母ならば1体喰わせればヌ級に変体するかと思うたが」

 荒木が思案顔で、相談するようなトーンで話す。加賀はまだ、非現実的な光景に考えが纏まらず、フワフワとした思考の中にいた。

「まだ足りない、といった様子ですね」

「……まぁ、ちょうどいいんじゃねぇか?」

 提督がそう言った瞬間、3人が踵を返して加賀の方へと向き直った。そして、

「「「活きのいいのがいるから」」」

 声を揃えてそう言
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