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儚き想い、されど永遠の想い
155部分:第十二話 公の場でその十三

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第十二話 公の場でその十三

「そういうことなのですね」
「おそらくはそうかと」
「脚気は食事からですか」
「多くの病がそれにあるようですね」
「人は食べなければ死にますし」
「支那では医食同源という言葉がありますね」
 義正は今度はこの国の話をした。この時代においてもだ。支那と日本は深い関係にあった。切れるような縁ではないというのである。
「ですから。身体によいものを食べることがです」
「大事ですね」
「そうなりますね。ではこれからは」
「身体によいものを食べていく」
「そうするべきですね」
 義正は穏やかな笑みで真理に話した。
「それが身体の為になります」
「わかりました。では白米だけでなく」
「麦も食べて」
「これからは今以上にそうしていきます」
「そうされるべきです。では今は」
「今は」
「珈琲を楽しみましょう」
 今はだ。それだという義正だった。
「そうされましょう」
「そうですね。珈琲ですね」
「珈琲もです」
 義正は珈琲の話もだ。笑顔でするのだった。
「飲んでいると何かが違ってきますね」
「目が覚めますね」
「眠い時に飲むととりわけいいです」
 それが珈琲であった。そうした意味では茶よりもいいというのだ。
 その話をしてだ。彼は実際にその珈琲を飲みだ。真理に話した。
「そして飲んでいるだけ」
「それだけでなのですか」
「心がすみやかになります」
「そうですね。珈琲は不思議ですね」
「全くです」
 こうした話をしながらだった。二人は珈琲を楽しみこれからのことも考えていくのだった。そして遂にその日が来たのであった。
 舞踏会に行く前にだ。真理にだ。まずは父が話してきた。
「準備はできたのか?」
「はい」
 すぐに答える真理だった。彼女は既にドレスに身を包んでいる。純白の一点の汚れもないドレスにだ。その身を包んでいるのだった。
 そのドレス姿でだ。彼女は父に話した。
「今すぐにでも」
「そうか。ならいい」
「それにしても」
 ここでだ。彼女の母も言ってきた。
「真理がこんなに早いなんて」
「早いでしょうか」
「いつも着替えるのは遅いではないですか」
 娘にこのことを話すのだった。

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