暁 〜小説投稿サイト〜
提督はBarにいる・外伝
加賀の恐怖体験・3
[2/3]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
始めた頃からである。当時から人間の作り出した現行の兵器は通用せず、ただ蹂躙されるのみであった。ただ、ここで問題になるのは彼等が撃沈した艦船を『捕食』していた点である。

 沈められた艦にあの深海生物のような巨大な口を開け、歯を突き立て、音を立てて咀嚼している姿にはおぞましい物を感じた。そして私が更なる恐怖を覚えたのは、軍艦を平らげた彼等が身体を震わせ始め、メキメキと音を立てて身体を変質させていった事だ。身体は更に大きくなり、腕の様な物が頭部の左右から生えてきた。頭部の上からは砲塔のような物が生え、明らかに駆逐艦とは別の物へと変貌を遂げたのだ。……後に、軽巡ホ級と呼称されるようになる個体である。他のイ級も変体を遂げ、単眼になった物や頭部が変形した物など、その姿は様々だった。

 察するに、駆逐イ級の変貌のきっかけは『人間の遺伝子』だったのではないか?と推察する。沈められた艦船には、当然ながら乗組員が乗っており、沈めた艦をあの化け物達は人間ごと喰らったのだ。それを吸収し、遺伝子に何らかの変調を来して身体が変体を遂げた……他の研究者達は妄言だと嘲笑うだろう。しかし、私にはこれが厳然たる事実としか思えないのだ。



2章:捕食した者と変体への関連について

 私が報告書を提出した後、私は海軍の極秘研究所に迎えられた。深海棲艦の生態を調査する為である。そして私はそこで『艦娘』という存在と出会った。どのように彼女達が生まれたのかは、私は知らない。だが、深海棲艦の研究所で生まれたのは事実であるから、その関係は推して知るべし、という奴だろう。

 彼女達の活躍は凄まじいの一言だった。手も足も出なかったあの化け物共に、確かなダメージを与えて見せたのだ。当然ながら仕留められた深海棲艦は貴重なサンプルとして回収され、解剖し、実験する事で色々な事柄が判明していった……が、このレポートに記す事柄としては不適当である為、今回は割愛する。

 問題は、艦娘をもってしても損耗は0ではないという点だ。駆逐艦から変体……いや、敢えて『進化』という言葉を使わせてもらおう。進化を遂げて手足を得た深海棲艦は、上陸して沿岸部を襲撃した。国民には伏せられているが、少なくない被害が出ているのだ。その場にも当然ながら艦娘は投入され、背水の陣での防衛戦を強いられた。そこでもやはり、破壊された艦娘を捕食する個体が見られたのである。

 更に興味深いのは、『捕食した対象の能力を、ある程度トレースし始めた』事だろう。顔の横に手が生えているという化け物としか形容できない見た目だった軽巡ホ級が、自ら仕留めた艦娘の死体を捕食すればするほどに人間の形に近付いていくのだ。その過程をまざまざと見せつけられた私は、やはり自分の仮説が正しかった事を確信し、またその仮説が正しかった事を呪った。やがて
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ