加賀の恐怖体験・2
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と変貌している事実。好奇心で満たされていた心も今や、恐怖と後悔で絞め殺されてしまいそうだった。
しかし、まだ希望は捨て去っていない。震える肩を抱き締め、思案を巡らせる。諦めずに思考し続けろと語った、提督の教えを信じて。気休めにすぎないかも知れないが、今の加賀には十分に救われる物だった。
何度か深呼吸して、心を落ち着かせる。と、背後からバタンと扉の閉まる音が聞こえた。どうやら見つかった訳ではなく、開錠作業が済んだだけだったらしい。
「提督……」
そう呟いて、左手の薬指の指輪に触れる加賀。一抹の希望を胸に、追いかけようとドアの前に立つ。いつもの優しいあの人ならば、間違って付いてきてしまった自分を発見したら、怒りはすれど元の場所に連れていってくれるかも知れない……いや、きっとそうだ。あの提督が長い時を共に過ごした人間をそう簡単に消すはずが無い。その事故中心的な思い込みにも近い願いに縋り付くように信じながら、また扉を開く。加賀には既に引き返す道は存在せず、前に進むしか道は残されていなかった。
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