加賀の恐怖体験・1
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たように大きく深呼吸して、力を込めて手首を捻る。
ガチャ……キイイィィィーー……
普段なら気にもしないようなドアの軋みが、今日はやけに耳に響く。少しカビ臭いような書斎の空気に混じって、開け放たれた書棚の奥から、何とも言えない臭いが漂ってくる。消毒液と、血のような鉄錆びの臭い……そして僅かに、肉の腐ったような臭い。まるで病院か、生物実験でも行っているかのような、異臭。それが書棚の方から漏れ出ていた。急いで……しかし極力音を立てずに部屋の奥へと進む加賀。観音開きになった書棚の奥には、重厚な色の樫の扉が鎮座していた。
ゴクリ……と生唾を飲み込む音が嫌に響く。そこ秘密を覆い隠しているような重厚な扉を前に、決意が揺らぐ。さっきの毒を喰らわば皿まで、という気概は何処へ行ったのか。再び不退転の決意をして、扉のドアノブに手を掛ける。
『重い……』
率直な感想だった。どうやら緊張から錯覚した訳ではなく、実際に分厚く重く作られていたようだ。金属の扉をサンドするように、樫の扉が貼り付けてあるらしい。まるで何かを封印するかのように。その重さを示すように、重厚な音と共に、扉が開く。
「やっぱり……あの噂は、事実だったというの?」
扉が開いた先で加賀が目にした物。それは、瑞鶴の語っていた都市伝説同様、暗黒の世界に通じるようにぽっかりと口を開けた地下へと延びる階段だった。
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