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提督はBarにいる・外伝
加賀の恐怖体験・1
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言で喋る男。加賀はすぐに、その正体に思い至った。

『あれは確か……提督の同期の荒木提督?しかしあの人はラバウルの技研にいるはず。何故ブルネイに?』

 提督の同期であり、ラバウル技研の研究員でもある荒木。秘書艦の大和も伴わず、こんな所でコソコソと何をしているのか。もう一人の人影は旧日本陸軍の制服によく似た服装の男。

『あれは……憲兵!?まさかグラウンドに立つ日本兵の霊って』

 思わぬ形で七不思議の1つの正体に遭遇した加賀。噂になるほど目撃されている、という事はこの憲兵は頻繁にこの鎮守府を訪れているという事になる。

「お待たせしてスミマセン。では向かいましょう」

 合流した3人は踵を返し、提督が元来た道を戻ってきた。つまり、加賀の隠れている方に向かってきた。

『こっちに来る……!』

 見つかるリスクを犯しつつ、隠れている場所を変える加賀。その際、僅かにだが物音を立ててしまう。

「…………?」

「ん、どうしたんじゃ?」

 物音がした方向を凝視する憲兵。加賀の心臓はバクバクと早鐘を打ち、その音が漏れてバレるのでは?と不安になるほどだった。

「……いえ、物音がしたような気がしまして」

 どうやらやり過ごせたらしい。

「見つかるといえば、お前も気を付けろよ?ウチの駆逐艦の連中に噂になってるらしいぞ?『グラウンドに日本兵の霊が出る』って」

「ははは、それはいけませんな」

「笑い事じゃねぇぞ」

 そんな会話を交わす提督と憲兵。憲兵はさほど深刻に思っていないようだが、提督の表情を見る限りかなり苛立っている。

『ふぅ、危なかったわ。危うく見つかる所……って、何で私は提督に見つかるのを恐れているのかしら?』

 普段の提督ならば、尾行がバレた所で軽く怒られて終わり程度なのだろうが、今目の前で提督が放つ怪しい雰囲気と緊張感が、『見つかったらヤバい』と本能的に加賀に思わせていた。

『それにしても……荒木提督はともかく、憲兵に親しい間柄の人なんていたかしら?』

 一応霧島の旦那である橘君がいるが、彼は年下であり階級も下の人間だ。あそこまで気安い会話が出来る間柄ではない。

『まぁ……それもこれも尾けてみれば解る事ね。今後もバレないようにいきましょう』

 この時点で、加賀には尾行を止めるという選択肢は無くなったようだ。




「………………」

「………………」

「………………」

 3人は灯りも点けず、薄暗い鎮守府の中を進んでいく。終始、無言。重苦しい空気が辺りを包む。

『3人共会話すらしない……何が目的なの?』

 加賀が次第に焦れてきた頃、ようやく3人は目的地に辿り着いたのか、歩みを止めた。提督が懐から鍵を取り出し
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